ギターリペアでハンダ作業をしていると、
- ハンダごてがなかなか暖まらない
- ハンダが乗らない
- 黒く焦げてくる
- アースが全然溶けない
という悩みが出てきます。

新品のときは、スムーズに作業ができていたのに??
そのほとんどは コテ先の寿命・劣化 が原因です。
この記事では、
- コテ先の寿命
- 劣化の見分け方
- 長持ちさせる管理方法
- メーカー別の交換用コテ先一覧
- 格安はんだセットの落とし穴(交換コテ先問題)
- ギターリペアで最適なコテ先形状
- メーカー別:交換用コテ先一覧
まで、ギター配線で迷わない知識をまとめて解説します。
1. コテ先の寿命はどれくらい?【目安:1〜6ヶ月】

コテ先は消耗品です。
使用頻度・温度で寿命は変わります。
| 使用頻度 | 寿命目安 |
|---|---|
| 週1のDIY | 6ヶ月〜1年 |
| 週3〜5回 | 1〜3ヶ月 |
| 毎日使う | 2〜4週間 |
主な寿命を縮める原因はこちら↓
- 高温(400℃以上)で放置
- ティンニング不足(空焼き)
- クリーニング不足
- 無理にこすり洗い
- フラックス焦げの放置
ギター配線なら 250〜350℃ で十分。
温度を下げるだけで寿命は大幅に伸びます。

作業中は空焼きしていた
2. 劣化したコテ先の特徴(1つでも当てはまれば交換)

- ハンダが弾かれて丸く固まる
- コテ先が黒く酸化している
- 先端が丸く変形している
- クリーニングしても銀色に戻らない
特に メッキが剥がれて鉄色が見えてきたら復活不可 です。

黒いけど無理して使ってない??
3. 交換すべきタイミング

以下に当てはまる場合は交換推奨です。
- ハンダが乗らない
- 温度を上げないと溶けない
- 形状が変わってしまった
- 作業効率が落ちてイライラする
劣化したコテ先で作業すると、ポットやスイッチを焦がす・コールドハンダが増える など、余計なトラブルに繋がるため早めの交換が吉。

とりあえず、待てば温度が上がるから放置がち
4. コテ先を長持ちさせる管理方法【重要】

せっかく購入したコテ先も適切な管理をしないとあっという間に劣化してしまいます。

ハンダづけの仕上がりにも影響します
ここでは適切な管理方法をお伝えします。
コテ先の汚れを全部取り切ればOKというわけでは、ございませんよ。
① ティンニング(銀色の皮膜)を必ず作る
作業開始前・終了後に薄くハンダを塗っておくと寿命が2〜3倍伸びます。
② 高温放置しない
350℃以上での放置=酸化激増。
③ 真鍮ウールでこまめにクリーニング
クリーニングツールはスポンジタイプと真鍮ウールタイプが主流です。
どちらもコテ台とセットになっています。
真鍮ウールはスポンジより酸化しにくい特徴があります。
一般的にHAKKO FX600、goot PX-280 / PX-601の上位機種はセラミックタイプになり真鍮タイプが推奨されます。
関連記事;【goot ST-11 レビュー】ハンダごてに最適な定番こて台
④ 鉛入りハンダを使う
ギターのリペアには鉛入りのハンダケスター44がおすすめです。
- 温めるとよく流れるピックアップやポットなど細かい配線にぴったり
- 電気の流れも安定していて、音にも影響が少なく
- ハンダ割れや冷えすぎによるトラブルも防ぎやすいで
初心者でも使いやすく、プロも使う定番のハンダです。
⑤ 削らない(重要)
紙やすり・金属ヤスリで削るとメッキが剥がれて一発で寿命終了。

紙やすりで削りがちですが、ダメです
⑥ 長期間使わない時もティンニングして保管
不使用の間も酸化は進むので処理が大事。
5. ここで重要:格安のハンダセットは魅力的だが“長期使用”が前提なら注意

Amazonやホームセンターには、はんだゴテ+スタンド+はんだ+工具が全部揃った格安セット が豊富です。
値段も2,000円前後と魅力的ですが、長期間使う前提なら逆にコスパが悪くなる場合があります。
私も愛用しています、一回限りの修理なら圧倒的にコスパは最上級ですが、長期的に使用することを考えるとちょっと違うかもしれませんよ・・・

確かに便利です
関連記事;2000円ハンダごてセットはギターリペア初心者におすすめ。温度調節機能付きLesimoll はんだごてセットレビュー
【理由①】交換用コテ先が売っていない
格安セットの多くは、その商品専用の規格外コテ先 を採用しているため、後から買い替えできません。
→ コテ先が寿命を迎えたら、本体ごと買い直す必要がある。
【理由②】温度管理が安定しないものが多い
特に配線作業は温度が命。
温度ムラがあるとパーツを焦がす原因に。
【結論】
1回だけのDIYなら格安セットでOK ですが、ギターリペアのように年に何度もハンダを使うなら、
- HAKKO FX600
- goot PX-280 / PX-601
など、交換コテ先が豊富なメーカー製ハンダごてが結果的に安い です。
関連記事;ギターリペアの最強はんだごて、白光(HAKKO) ダイヤル式温度制御はんだこて FX600-02
6. ギターリペアで最適なコテ先形状
| 形状 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| B型 | 万能 | ポット・スイッチ |
| D/C型 | 熱容量大 | アース配線 |
| I型 | 細い | ジャック・狭い位置 |
| K型 | ナイフ | 剥膜処理・平面 |
結論:B型+D型の2本持ち が最強。

付属のB型だけでも作業は十分ですが
7. メーカー別:交換用コテ先一覧

ギターリペアで使うハンダごては、作業効率や長期的なコストを考えると、交換用コテ先が豊富に揃っているモデルを選ぶのがおすすめです。
ここでは、特に人気の高いHAKKO(FX600・FX601)やgoot(PX-280・PX-601)など、交換用コテ先が容易に手に入り、作業環境や目的に応じて形状を選べる製品を中心に一覧で紹介します。
これらのモデルなら、長く使っても安心です。
関連記事;ギターリペアの最強はんだごて、白光(HAKKO) ダイヤル式温度制御はんだこて FX600-02
HAKKO(白光):T18シリーズ(FX600/FX601)
| 型番 | 形状 | 用途 |
|---|---|---|
| T18-B | B型 | 基本 |
| T18-D08 / D12 / D16 / D24 | D型 | アース向け |
| T18-BL | 長いB型 | 奥まった場所 |
| T18-I | 細型 | ミニ端子 |
| T18-K | ナイフ | 剥膜・広い面 |
| T18-S3/S4 | 丸穴 | 熱保持が強い |
goot:PX-2RTシリーズ(PX-201 / PX-280 / PX-601)
| 型番 | 形状 |
|---|---|
| PX-2RT-B | B型 |
| PX-2RT-2C / 3C / 4C | C型 |
| PX-2RT-4D | D型 |
まとめ
- コテ先の寿命は1〜6ヶ月
- 酸化や高温放置で寿命が縮む
- 管理すれば寿命は2〜3倍伸びる
- 交換コテ先が豊富なメーカーは長期的に安い
- 格安セットは交換できないため買い替えのほうが高くつく
ギターリペアで年に数回でもハンダを使うなら、交換コテ先対応モデルのほうが絶対に後悔しません。


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