エレキギターの演奏中に「チューニングがすぐ狂う」「弦が引っかかる感じがする」「音が詰まる」といったストレスを感じたことはありませんか?
これらの問題の原因は、実は「ナット」にあるかもしれません。
この記事では、ナットの役割から調整・交換・メンテナンス方法まで詳しく解説します。
ナットとは?ギターのトラブルに深く関係している

ナットは、ギターのヘッドと指板の境目にある小さなパーツで、弦を適切な高さと間隔で支える役割を果たします。
私ごとですが、父からもらったギターはナットとフレットがすり減っていてとても弾きにくいギターでした。
ナットすり減りがあると、音程の安定性や演奏性に悪影響を及ぼします。

消耗品よ!
ナットが原因で起こる演奏トラブル

ナットが原因での演奏時の発生する症状は主に以下の3つです。
- チューニングが安定しない
- ビビり・音詰まり
- 弦が滑らない、引っかかる感触
チューニングが安定しない
ナットの溝に摩擦があると、ペグを回しても弦がスムーズに動かず、チューニングが狂いやすくなります。
ビビり・音詰まりの原因
ナット溝が深すぎたり、弦高が低すぎると、フレットに弦が当たりやすくなり「ビビり」や「音詰まり」が発生します。
弦が滑らない・引っかかる感触
溝の幅が合っていないと、弦がスムーズに動かず、チョーキング時に引っかかる感覚が出ることがあります。

この辺はナットの材質にも関係がある
ナットの材質と音への影響

ナットの材質によって、サステインや音の響きが変わります。
代表的な材質と特徴は以下のとおりです。

チューニングの安定さなどの性能にも関係がある
- プラスチック:安価だが摩耗しやすい。
- 牛骨:自然な音の響きと耐久性が高い。
- グラファイト:滑りが良くチューニングが安定しやすい。
- ブラス(真鍮):明るくシャープな音色。

交換はDIYでも可能です。
以下をの記事で交換方法を紹介しています。
ナットの溝と弦、適切な高さと幅とは?

ナット溝の深さや幅が合っていないと、弦の振動やチューニングの安定性に影響を与えます。

以下の症状があればナットメンテが必要かも
- 溝が浅すぎる → 弦高が高くなり弾きにくい。
- 溝が深すぎる → ビビりや音詰まりの原因になる。
- 幅が狭すぎる → 弦が動かずチューニングが不安定。
- 幅が広すぎる → 弦が浮いてしまい音に影響が出る。
そもそものナット溝の基準とは?ですが、次の2つの方法で測定できます。
ナット溝の高さ基準

適切なナット溝の高さは、1フレットを押さえずに開放弦を弾いたとき、適度なクリアランス(隙間)があることが重要です。
以下の基準を参考に。
- 6弦(低音弦)側:約0.3mm ~ 0.5mm
- 1弦(高音弦)側:約0.2mm ~ 0.3mm
測定する際は、0.05mm刻みのシックネスゲージ(隙間ゲージ)を使用すると正確です。
高すぎると押弦が重くなり、低すぎるとビビりの原因になります。

シックネスゲージに弦が当たる▷改善した方がよい
フレットとの比較基準

ナット溝の高さは、1フレットを押さえたときのフレットトップと弦の間の高さと同程度が理想的とも言われています。
以下の方法でチェックできます。
- 1フレットを軽く押さえた状態で、ナット側の弦の隙間を確認
- 押さえた状態と開放弦の隙間がほぼ同じであれば適切。
- 1フレットとナットの間の隙間を測定
- 1フレットを押さえずに測定し、約0.02mm~0.05mm程度の隙間が目安。
この基準を守ることで、開放弦と押弦時の弦高バランスが保たれ、演奏性が向上します。
ナット調整・交換の方法

ナットの調整と交換ですが、「自分でするのか?プロに頼むか?」悩むところです。
経験がない=自分でメンテには、リスクが伴います。
ナットを外す時に慎重に外さないと、ナット溝を痛めてしまう可能性があったりと・・・
しかし、ナットは消耗品である性質上、交換は弾き続ける限り発生します。
自分で交換できれば、その都度好きな素材を選べるメリットがあります。

プロに頼むと、素材で工賃が変わる
ナットを外すことができれば、市販のほぼ整形済みナットを購入することで、微調整しながら取り付けることは未経験でも十分可能ですよ。
溝の調整方法(やすり・専用ツール)
ナットが溝が低すぎれば交換しかありません。
先ほどの、ナット溝高さの確認方法でナット溝自体が高いようであれば、ナットファイル(ナットを溝を削る専用工具)を使って、溝を少しずつ削ることで、
- 弦高を下げれる→押さえくなり演奏しやすい
- 弦の通りをスムーズにできます。
- ローフレット側のピッチが合う
という改善ができます。

削りすぎには注意しましょう。

低すぎれば交換です
自分でできるナット交換の手順
ナット交換のおおまかな手順は以下の通りです。
- 既存のナットを取り外す。
- 新しいナットを用意し、適切なサイズに調整する。
- 接着剤を少量使い、しっかり固定する。
- 弦を張り、問題なく機能するか確認する。
定期的に、ナット溝に潤滑剤(ナット用潤滑剤)を塗ることで、弦の動きがスムーズになりチューニングが安定します。

もちろん寿命も長くなる
ナット交換を自分でするメリット

ナットの素材や形状を変更することで、音の響きや演奏性を自分好みに調整できます。
例えば、スムーズなチョーキングを求めるならグラファイト、明るい音を求めるならブラスが向いています。
とはいえ、プロに頼むと
ブラスナットだと工賃が牛骨に比べて高くなります。
自分で交換することで、安く自分の好きな素材を選べます。

ちなみに、ブラスナットの値段は1000円ほどです。
以下はおおよその価格表です、昨今はギターパーツが安く手に入る時代で、できることは自分でする、というニーズが高くなっている気がします。
素材 | 価格(税抜き) |
---|---|
牛骨(ボーン) | ¥7,000 ~ ¥8,800 |
樹脂系(TUSQ等) | ¥9,000 ~ ¥11,000 |
ブラス | ¥11,000 ~ ¥16,500 |
カーボン | ¥12,000~ |
まとめ
ナットはギターの「小さなパーツ」ですが、演奏性や音質に大きな影響を与える重要な要素です。
ナットに問題があると感じたら、適切な調整や交換を検討することで、演奏時のストレスが解消されるかもしれません。
ぜひ、この記事を参考にナットを見直してみてください!
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