ギターを長く良いコンディションで保つために欠かせないメンテナンスのひとつが「ネックの反り対策」です。
中でも意外と見落とされがちなのが、「指板の保湿」。
なぜこの記事を書いているかというと、私のギター5本中3本が逆反りの状態でした。
そのうちの1本が再起不能つまりネックの反りを修正できない状態です。
ギターの保管方法は、弦を緩めて吊るし下げをしていていました。
この保管方法がベストだと思っていたのですが、まさかの逆反りでした。

指板の保湿をしてなかった
実は、ネックの反りと指板の保湿は密接に関係しています。
この記事では、
- なぜ指板を保湿することがネック反りの予防につながるのか?
- 保湿方法について
以上をお伝えします。
なぜネックは反るのか?

ギターのネックは木材でできているため、湿度の影響を受けて伸縮します。
湿度が低いと木が乾燥して縮み、高すぎると膨張します。
この変化が偏ると、ネックが「順反り」や「逆反り」を起こしてしまうのです。
特に乾燥する冬場やエアコンの効いた室内では、ネック材が乾いて収縮しやすくなります。

室内の湿度は60~40%が理想と言われています
私は仕事がら、建物の空気環境測定に行くことが多いのですが、冬場は湿度が40%を切っているオフィスなどが結構あります。

20%とか普通にある
指板の乾燥がネック反りに影響する理由

指板もネックと同じく木材でできています。
ローズウッドやエボニーのような無塗装の指板材は、特に乾燥しやすく、湿度の変化に敏感です。
指板が極端に乾燥すると、ネック全体のバランスにも悪影響を与えることがあります。
例えば、
- 指板とネック材の収縮率の差でねじれが発生する
- フレット浮きやバリ(フレットの端が飛び出る)が起きる
- 全体としてネックの強度が下がり、反りやすくなる

乾燥してくると白っぽくなるよね
指板保湿のメリット

指板を定期的に保湿してあげることで、以下のようなメリットが得られます。
- 木材のひび割れ防止
- フレットのバリ防止
- ネックの反りを軽減
- 指板の艶や弾き心地をキープ
木材のひびやネックの反りは修正できない場合があるので、低湿度の室内環境では保湿をした方がよいわけです。
指板の保湿には賛否両論ありますが、
保湿が必要かどうか?それは環境に左右されます。
低湿度の環境はこまめに保湿が必要ですが、そうでなければ保湿は必要ないということになります。

一概に必要、不要の判断はできません
指板の保湿方法

ここからは指板の保湿方法を解説します。

商品によって違いますよ!
必要な道具
- レモンオイル(またはフィンガーボードオイル)
- 柔らかいクロス(マイクロファイバー推奨)
手順

- 弦を外す
- クロスにオイルを少量染み込ませる
- 指板全体にまんべんなく塗る(フレットの間までしっかり)
- 5~10分放置
- 乾いたクロスで余分なオイルを拭き取る
※オイルの塗りすぎには注意。ベタつきや劣化の原因になります。
保湿の頻度はどれくらい?
指板の保湿は、乾燥する季節に月1回程度が目安です。
夏場など湿度が高い時期は必要ない場合もありますが、目視で乾燥しているように見えたり、手触りがカサカサしてきたら保湿のサインです。
おすすめの指板用オイル
Jim Dunlop レモンオイル 65
定番中の定番。さっぱりした仕上がりで、初めてでも扱いやすい。
汚れ落とし効果もあるため、保湿と同時にクリーニングも可能。

Music Nomad F-One Oil
100%天然成分で、レモンオイルよりもしっとり感が長持ち。
無香料なのでにおいが気になる方にもおすすめ。
D’Addario Hydrate Fretboard Conditioner PW-FBC
D’AddarioのHydrateコンディショナーは、オイル仕上げされていないローズウッドやエボニーなどの指板に潤いを与え、乾燥による劣化を防ぎます。
クリーニング効果もあり、蓄積した汚れをやさしく取り除きつつ、木材本来の質感を引き立てます。
定期的に使うことで、指板がしっとりと保たれ、演奏時のフィーリングも向上します。
Fret Butter
汚れ落とし+保湿が同時にできるスグレモノ。
弦交換のタイミングでサッと塗布できるため、手軽さが売り。
【10年分の指板汚れ】フレットバターで指板に蓄積した汚れは落ちる?
保湿のビフォーアフター:見た目でわかる変化

私が愛用している商品はフレットバターです。
数年間放置していたテレキャスターの指板を保湿+クリーニングするために購入しました。
ヘビーな汚れと、極度の乾燥には、向きませんが、定期的に保湿が簡単にできる商品です。
保湿と同時にフレットの汚れもある程度は落ちるので、弾いた時にスベスベして気持ちがよいですよ。
以下はフレットバターの使用例です。
【10年分の指板汚れ】フレットバターで指板に蓄積した汚れは落ちる?
作業事例1

作業前の画像では、指板がカサカサして色も白っぽく、乾燥している状態です。
作業後は、
しっとりとして色に深みが出ています。

艶も出て、木目がくっきりします。

指触りもスムーズで、演奏性がアップ。
作業事例2
ジャズベースの指板です、購入して十数年、1回も保湿していません。
フレットバターより本格的なオイルが良かったかもしれません。


作業事例3
こちらも購入してから放置のオベーションの指板です。

もっとしっとり感がほしいですね。
定期的な保湿はフレットバターで、放置したようなカサカサの指板は先ほど紹介した本格的なオイルを塗布するタイプを使用するという使い分けですかね。

定期に保湿してるならフレットバターでもOK


まとめ
ギターの保管で、弦を緩めてギターを吊るして保管していました。
自分ではベストな保管方法だと思っていてのですが、なぜか逆反りになっていました。
その原因に指板の保湿をしていなかったのが原因かな・・・と思っています。
指板の保湿は「ネック反りの間接的な予防策」として、非常に有効です。

盲点だった
特に乾燥が気になる冬場は、定期的なケアを習慣にすることで、大切なギターのコンディションを守ることができます。
ネックの反りは種類によっては、調整できない種類があります。
保湿は簡単にできるため、ぜひお試しください。

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