ギターのリペアや改造をする際に避けて通れないのがハンダ付けです。
しかし、初めての人にとっては「うまくできるか不安」「どんな道具を使えばいいの?」と疑問に思うことも多いでしょう。
何より、私もそうでした。
レスポールのモコモコサウンドをなんとかしたいとピックアップの交換を考えましたが、今でこそ当たり前のように作業していますが、実は何年も実行できず、躊躇していました。
そのレスポールですが、トグルスイッチの断線修理やポットの不良など、ハンダ作業をしないと解決しない問題が多々あり、数年放置していました。

今はすべて改善されています。

それもハンダ作業の壁を乗り越えたからです。
私が一番思うのは、ハンダ作業は何点か心がけることで、決して難しい作業ではないということです。
本記事では、そのポイントを初心者向けに「ハンダ付けの基本」と作業を簡単にする「おすすめのツール」を紹介します。
これを知っておけば怖くないハンダ付けの基本

ハンダ付けは、金属同士をハンダ(鉛とスズの合金)で接合する作業です。
ギターの配線では、ポット(ボリューム・トーンの可変抵抗)やスイッチ、ジャックなどの端子に配線材を接続するために行います。

ハンダ作業は避けて通れない
端子の穴に配線を通すだけでは電気信号に漏れが生じます。
その微細な空間を埋めてスムーズに電気信号を伝達する役割を果たすのがハンダです。
では、ハンダ作業をスムーズに進めるためのポイントを解説していきます。
ざっと作業のポイントは、以下のとおりです。
- 作業スペースを整える
- 接合部をキレイにする
- ハンダごてを温める
- ハンダを適量使って接合する
- 冷却して固定、そしてコテ先をクリーニング

解説します!
作業スペースを整える

まず作業環境が大事です。
作業台ではなく床で作業していて、「ハンダごてを踏んでしまった」「机からハンダごてが落ちてカーペットを焼いてしまったり」・・・

落ち着いて作業できる環境が大事
このような経験から、以下は「安全で効率的な作業」をする上で大変重要です。
- 広い作業台を用意し、換気を良くする。
- 余計なものを置かない。
- コンセントは高い位置に配置する。
コンセントを低い位置からとるとコードの重みでハンダごてが落ちてしまうことがあります。
低い位置からコードをとる場合はコードの重みでハンダごてが落ちないように、コードをテープなどでテーブルに留めましょう。

床が焼けるよ・・・

接合部分をキレイにする

ポッドの背中へのハンダづけは、紙やすりで背中を研磨しないとハンダが乗らないことがあります。
とりあえず紙やすりで擦っておけばOKです。
後述しますがフラックス塗布も効果的です。

とりあえず擦っておけばOK。
ハンダコテを温める

ハンダを温めるといわれても、どの程度温めれば良いかわかりませんよね?
ですので、おすすめは温度調整機能付きのハンダコテです。
で、あれば、
「350℃前後」に設定してくださいと、言われても理解でき実行できます。
温度調節機能付きのメリットは、それ以上温度が上がりすぎることがない点です。

熱すぎてパーツを破損したりするリスクがなくなる

道具は作業難易度を変数にする

ハンダを適量使って接合する

ハンダづけ作業が難しいと感じるのは、配線を接合部分につけて、ハンダを流し込むという、同時作業だと認識しているからだとおもうのですが・・・、実はそうではありません。
例えば「端子への配線のハンダ作業」ですが、
温めるのはハンダではなく端子です。

ハンダごてを当てる先は、
あくまでもパーツです。
温めた端子にハンダを接触して溶かすわけです。
ハンダは事前につけておくわけです。
だから同時作業的な複雑性はない、大抵の場合は。

場所によっては3本腕が欲しくなることもありますが、
配線を接合するときに「そのハンダを溶かしてサッと配線を差し込む」。
だから思った以上に簡単です。
冷却して固定、そしてコテ先をクリーニング
ハンダを溶かして差し込んだ配線ですが、ハンダが固まるまでに少し時間がかかります。
ハンダごてを離したら、ハンダが冷却されて固まるまで配線を保持しましょう。
さらに、使用するたびにクリーナーでコテ先をクリーニングします。
私は付属のスポンジクリーナーを使用していますが、拭き取るたびにコテ先の温度が落ちるので、あまり効率的ではありません。

お金に余裕があれば、カナダワシタイプがおすすめです。

作業を簡単にする、初心者におすすめのハンダごて

初心者がハンダ作業を成功させるポイントは、作業を「いかに簡単にするか?」というところです。
私が思うハンダ作業を簡単にする方法は以下の通りです。
- 手順に沿って作業する(前述の手順)
- 温度調整機能付きのハンダごてを使用する
- ハンダ付けのたびにコテ先をクリーニングする
この3点を押さえれば、実際に作業してみて「ハンダ作業って簡単!」と感じることができるでしょう。
温度調整機能付きハンダコテを使用する

最初にハンダ作業を始めたとき、私はHAKKOの60Wのハンダコテを使用していました。
は、多機能とは正反対で、
- 加熱中かわからない
- 温度がわからない
といった具合に「わからない」が多く、不安をさらに増幅させるものでした。

パワーは、最高の商品です

例えるなら、
テレキャスターより原始的
作業中にプラグが刺さっている限りどんどん加熱されるので、温まりすぎてしまい、恐怖すら感じました。
だからこそ、簡単に安全に作業するには、
- 必要最低限のパワーで十分
- 温度が目視できる
- 設定温度以上に上がらない
これが重要!
特に安全性は重要で、起動していることが視覚的にわかるランプ付きの商品がおすすめです。

私みたいに「おっちょこちょい」と自負している人は尚更
私は過去に、「もう冷えているだろう」とコテ先を触ったら、コンセントが抜けておらず、火傷したことが2度ありました。
アナログすぎるハンダコテは安全性の面で微妙です。
とはいえ、HAKKOのハンダコテの能力は絶対安心で、「これを使っておけば間違いない」と感じます。
現在のメインは、Lesimoll はんだごて 14-in-1はんだごてセット を使用しています。
温度調整機能付きで値段は約2000円ですが、十分つかえてコストパフォーマンスに優れています。

必要な道具が全部ついてくる

おすすめのハンダコテ
温度調整機能付きハンダコテ(推奨)
HAKKO FX-600(温度調整ができ、ギター配線に最適)
この**370℃**という温度がポイントです。350℃ではなく、370℃が最適です。

絶妙な温度設定ダイヤル
とにかく安いものが良いなら→Lesimoll はんだごて 14-in-1はんだごてセットがおすすめです。


シンプルなハンダコテ

- HAKKO 30Wまたは40W(低価格で手軽に使える)
- goot KS-30R
電源ボタンやランプなどは皆無で必要最低限の機能っぷりです。

レスポールJr.みたい
これで十分と言えばそうなのですが、せめて電源スイッチと確認のランプくらいの設備は欲しいですね。

性能は十分

おすすめのハンダ

- 鉛入りハンダ → 初心者向けで扱いやすい。
- 鉛フリーハンダ → 環境に優しいが、扱いが難しい。
商品名で有名どころは、
ビンテージギター業界では、Kester44(ケスター44)が評判がよいですよ。

クリーナーとフラックス

このクリーナーを使用しないと、コテ先にハンダが団子状になり、新品のコテ先の寿命が縮まってしまいます。
今は、2000円の Lesimoll はんだごて 14-in-1セット に付属のスポンジクリーナーを使用していますが、お金に余裕があれば、より高品質なクリーナーを使用した方が良いです。
また、フラックスを活用すると、ハンダがきれいに流れ込みやすくなります。
フラックスとは、ハンダ付けの際に使用する化学薬品で、主に以下の役割を果たします。
- 酸化防止:金属表面の酸化を防ぎ、ハンダの流れを良くする。
- 濡れ性向上:ハンダが接合面にしっかりと馴染むようにする。
- 不純物除去:接合面の汚れや酸化物を取り除き、強固な接続を実現する。

フラックは、「つけない」よりは「つけたほうが良い!」

まとめ
ハンダ付けは、ギターの改造や修理をするうえで必須のスキルですが、適切な道具を揃え、基本を押さえれば初心者でもうまくできます。
特に温度調整機能付きのハンダコテを使うことで作業が格段に楽になります。
これからギターリペアに挑戦したい方は、ぜひこの記事を参考にしてハンダ付けをマスターしてください!
- ハンダコテの温度管理を適切にする(温度が低すぎるとハンダが乗らず、高すぎると部品を痛める)
- ハンダを一度に大量に盛らない(適量を心がける)
- 配線材の被覆をしっかり剥き、酸化を防ぐ
- ハンダが冷えるまで動かさない(冷却中に動かすと接合不良になる)


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