ギターやベースを複数所有していると、
「どうやって保管するのがベストなんだろう?」
と悩むこと、ありませんか?
私も現在、ギターとベースをあわせて5本所有していますが、ある日ネックの状態を確認したところ…
3本が逆反りしてました。
しかも、弦は緩めて保管していました。
「張りっぱなしよりも順反りを防げる」と思っていたのに…むしろ逆効果だったのかも。
もしあなたのギターでローフレットの音詰まり、ビビりを感じているようであれば、もしかして逆反りになっているかもしれません。

その原因、保管方法にあるかもしれません
私と同じように「こまめに弦を緩めて保管」していることが原因かもしれませんよ。
この記事では、私の実体験とギターの構造的な解説を交えながら、ベストなギターの保管方法をお伝えします。
結論:ギターは「弦を張ったまま吊るして保管」するのがベスト

いろいろと試した結果、私がたどり着いたギターの保管方法のベストはこれです。
- 弦は緩めず張ったまま
- ギターハンガーなどで吊るす(またはネックサポート付きのスタンド)
というのが私の持論になります。
これから解説します。
なぜこの方法が良いのか?
ネックは、弦の張力がかかった状態でバランスが取れるように設計されています。
弦を緩めると、ネックにテンションがかからなくなり、木材のクセや乾燥の影響で「逆反り」になりやすくなります。
そもそも「逆反り」とは?

通常、ギターのネックは弦の張力に引っ張られてごくわずかに順反り(前方向に反る)しているのが理想です。

わずかに順反りがベスト。
一方で「逆反り」はその逆。
ネックが後ろ方向(ナット側)に反ってしまう状態のことを指します。
逆反りの主な症状
逆反りの症状は以下のとおりです。
- 1〜5フレット付近で音詰まり・ビビりが発生
- 弦高を上げても改善しない
- ネックの中央がへこんで見える
ネックの反り具合によりますが、弦高を上げても音詰まりとビビりが改善できません。
その事例はこちら→【DIYリペア】逆反りギターネックは擦り合わせで解決できる?74製ストラトキャスター

逆反りの主な原因

「そもそも、どうしてギターのネックが逆反りしてしまうの?」
私のように「ちゃんと弦を緩めてたのに…」という人も少なくないと思います。
実は、逆反りにはいくつかの落とし穴があるんです。
原因を知っておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
ここでは、逆反りの主な原因をわかりやすく解説していきます。
1. トラスロッドの締めすぎ

トラスロッドを強く締めすぎると、ネックが逆方向に曲がってしまうことがあります。
画像のようにトラスロッドはネックの状態に合わせて、回す方向が決まっています。
ネックの状態を確認しながらロッドを回さないと、トラスロッドが効きすぎて思わぬ方向に反ってしまうリスクがあります。
ストレートエッジなどで確認しながら回すことで、トラスロッドが効きすぎることを予防できます。

【ベースネック反り調整】ストレートエッジで10年メンテナンスしていないベースの逆反りを調整
【DIYリペア】ストレートエッジでギターネック反り調節、道具は可能性だ。
2. 乾燥(特に冬場)
エアコンや冬の乾燥で木材が収縮し、指板側が縮んで逆反りになります。

冬場はネックが動く
湿度が40%以下になると危険ゾーンです
多くのギターの理想的な保管湿度は40~60%。
これを下回ると木材のトラブル(逆反り・ひび割れ・バインディングの浮きなど)のリスクが高まります。

湿度計を置いてみよう
冬場は弦交換のタイミングで保湿するのがおすすめです。
【10年分の指板汚れ】フレットバターで指板に蓄積した汚れは落ちる?
3. 弦のゲージ変更
細い弦に替えると張力が弱まり、木材の反発で逆反りしやすくなります。
軽いゲージ(細い弦)を張った場合
- 弦の張力が弱くなる
- 弦がネックを引っ張る力が減少
→ トラスロッドの反発力のほうが強くなり、逆反りしやすくなる
太い弦を張った場合
- 弦の張力が強くなる
- ネックを前方向(順反り)に引っ張る力が強くなる
→ 順反り傾向になりやすい

弦交換のタイミングでネック反りを確認した方が良い

ストレートエッジなら簡単に調べられる

4. リフレットなどの加工不良、経年劣化
強くフレットを打ち込んだり、指板を削りすぎるとバランスが崩れます。
年数が経つと木材のクセが出てきて、反りやすくなる場合があります。
私の体験、弦を緩めていたギターが逆反りしていた

私の所有する5本中、弦を緩めて保管していた3本が逆反りしていたことから、「弦を緩める=逆反りのリスクが高まる」と実感しました。
そのうちの1本は逆反りを修正できませんでした。
70年代のストラトでずっとケースに入れて保管していたギターです。
弦を張りっぱなし=ダメ、これはちょっと違うのではないか?と感じます。
順反りは修正できる、というかトラスロッドは本来順反りを修正するための機能、だと聞いたことがあります。
私の経験から「順反り」よりも、「逆反りを予防」することが大事だと思っていて、その理由を解説します。
なぜ逆反りがやっかいなのか?
逆反りがやっかいな理由は以下のとおりです。
- 一定数、順反り方向にしかトラスロッドが効かない種類があります。
- 逆反りは調整が効かないことがある
- 多少の順反りは演奏に支障はないが、逆反りは支障が出る。
つまり、逆反りは起こしてしまうと修正が難しい場合があるんです。
だからこそ、日々の保管方法が大事ということです。
ネック状態の理想的なバランスは?まとめ

ネックの状態 | 評価 | コメント |
---|---|---|
わずかに順反り | ◎ | 一番安定。弦の振動にも余裕がある |
完全なストレート | ○ | 可。ただし弦高設定がシビアになる |
わずかに逆反り | △〜× | 音詰まりしやすく、安定性に欠ける |
大きな逆反り | × | 修理が必要なレベル |
逆反りは演奏に支障がでるとお伝えしました。
この表は、ネックの反りと演奏の関係をまとめものになります。

順反りは程度によりますが、演奏に支障がでません

逆反りは、わずかに反っただけでも演奏に支障がでます。
ここからは、逆反りを予防する方法をお伝えします。
ギター保管時のチェックポイント3つ

では、ギターをどのように保管するのがベストか?というと。
ネックの反り+逆反り予防にフォーカスして考えると、以下の3つになります。
- 弦は緩めない
- 吊るして保管する
- 湿度を意識する
弦は緩めない
ネックのバランスを保つために、弦の張力は必要です。
吊るして保管する
ネックにかかる圧力を分散する。

弦の張力がかかっている分を分散する
湿度を意識(50〜60%が理想)
乾燥しすぎると木材が収縮し、逆反りやひび割れの原因に。

湿度計で気に掛けること!


逆反りチェック方法(自分でできる!)

ネックの反りの確認方法ですが、道具なしで確認する方法があります。
ギターのネック反りは、1フレットと最終フレットを同時に押さえ、12フレット付近の弦とフレットのすき間を確認することで判断できます。
0.1~0.3mmのわずかなすき間が理想的な順反り。
すき間が広すぎれば順反り、全くなければ逆反りの可能性があります。
もっと簡単な方法はストレートエッジを使用する方法です。
【ベースネック反り調整】ストレートエッジで10年メンテナンスしていないベースの逆反りを調整
【DIYリペア】ストレートエッジでギターネック反り調節、道具は可能性だ。

こんな症状が出ていたら逆反りかも?
- ローフレットで音が詰まる・ビビる
- ネック中央が少し凹んでいる
- 弦高を上げても改善しない
対処法(軽度の場合)

- トラスロッドを少し緩める(反時計回り)
- 湿度を上げる(加湿器を使う、ケース内に保湿剤を入れる)
→ 改善しない場合は、リペアショップへ相談しましょう。
まとめ
日頃の保管方法がネック反りに密接に関係しています。
保管で気をつけることは以下のとおりです。
- 弦を張ったまま
- 吊るして保管
- 湿度管理も忘れずに
特に逆反りになった場合、修正できないギターもあります、そう考えると逆反りは結構やっかいな症状です。
ギターは「少し順反りしている」くらいがベストな状態です。
この3つを意識するだけで、大切な楽器を長く快適に使い続けられるはずです。


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