ギターを触っていてこんな経験はありませんか?
- 開放弦を弾くとビビる…
- ローフレットの音がシャープする…
- ネックや弦高は問題ないのに、なんだか弾きにくい…
これ、実はナット溝の高さが原因かもしれません。

確かにナットを削りすぎたら、解放弦がビビるし、高すぎると1Fの音はシャープする

ナット溝が減っていてもビビりの原因になる
今回はそんなナット調整の必需品、シックネスゲージを使ったナット溝の測定・調整法をわかりやすく解説します!
ナットは消耗品です、交換の時期が必ずきますよ。
ナット溝がすり減っているかも・・・自覚がある方は簡単な測定方法なので一度お試しあれ。
シックネスゲージとは?ナット溝が低いとどうなる?

シックネスゲージは、0.01mm単位の金属板がセットになった測定ツール。
ギターでは主に「隙間」を測るために使います。

フレットの浮とかね
特にナット調整では、感覚では絶対に分からない誤差を可視化できる点が最大のメリットです。

ナット溝が高すぎ・低すぎるとどうなる?
ナット溝が適切でないと以下の症状が起きます。
- 高すぎる場合:1フレットが押さえにくく、音程も不安定
- 低すぎる場合:開放弦でビビりが出る、音がこもる
つまり、ナット溝の高さひとつでギターの弾きやすさ・音質が大きく変わるというわけです。

弦がビビると弾いていて不快だよね
シックネスゲージを使ったナット溝の測定方法

実際にシックネスゲージでナット溝を測定して「目からウロコ」でした。
私のテレキャスナットは1限側のナットを削りすぎて低い状態でした。
その結果解放弦にビビりが生じます。
6限側は問題ありません。
シックネスゲージは、その特徴をしっかり捉えてくれます。

弦を張った状態で確認できる
私のテレキャスはナット自体を削りすぎた事例ですが、ナット溝がすり減っている場合も同様にシックネスゲージで判定が可能です。
準備するもの
- シックネスゲージ(0.05〜0.50mm程度)
- カポ(あれば便利)
A測定手順

リペアのプロがよく使用する方法をお伝えします。
- 1フレットを押さえる(またはカポを使う)
- 2フレット上と弦の間にゲージを差し込む
ゲージがスッと入るところ=実質のナット溝の高さ。 - 目安と比較
一般的な目安(エレキギター):
1弦:0.15〜0.20mm
6弦:0.25〜0.30mm

このゲージが隙間にスッと入ればOK

目安のシックネスゲージを差し込んだときに、
- 弦がわずかに触れる or ほんの少し持ち上がる → 適正
- 弦が明確に持ち上がる → ナット溝がやや浅い
- 弦がゲージに触れない → 溝が深い
これが判定基準です。
プロのシックネスゲージの使い方
使い方のコツは以下のとおりです。

差し込むだけですが、
- ゲージは垂直に、まっすぐ差し込む
- 弦は張ったまま測定する(テンションの影響を考慮)
- 弦を外さず作業する場合は慎重に

弦は緩めないでください。
演奏している状況のまま測定

測定結果の対策とシックネスゲージを使用するメリット
測定結果を調べた結果・・・どうするか?ですよね。
ナット溝が浅い場合は、
ナットファイルで慎重に削る(少しずつ!)
ナットファイルも1000円ほどで購入できます。
ナット溝が深すぎる場合は、交換がベストですが、対処療法として以下の方法があります。
ナット交換、または瞬間接着剤+重曹で補修も可能
【失敗事例あり】フェンダーギター、ナットの取り外し方、自分でリペアしたい人必見
ここからは、ナット溝の補修方法をお伝えします。
補修に必要なもの
アイテム | 説明 |
---|---|
瞬間接着剤(液体タイプ) | 高粘度よりも「低粘度(さらさら)」が使いやすい |
重曹(炭酸水素ナトリウム) | ドラッグストアで手に入る食品用でもOK |
マスキングテープ | 指板やヘッドの保護 |
細いヤスリ or ナットファイル | 再整形に使用 |
シックネスゲージ | ナット溝の高さ確認用(あればベスト) |
① 周囲をマスキング
- 指板やペグの根本などに接着剤が垂れないよう、ナット周辺をマスキングテープで保護します。
② ナット溝に重曹を少量入れる
- 削りすぎたナット溝に、ほんの少し重曹を振りかけます。
- できるだけ「溝を埋める」ように、ピンポイントで。
③ 瞬間接着剤を1滴垂らす
- 重曹の上から瞬間接着剤を垂らすと、瞬時に硬化し、白く固まります。
- 一気に垂らさず、様子を見ながら慎重に。
垂れすぎ注意!周囲の木部に着くとシミになります。
④ 完全硬化を待つ
- 数分で固まりますが、念のため10分ほど放置しておくと安心です。
⑤ ヤスリやファイルで整形
- 固まった補修材をヤスリで削って、ナット溝の形に整え直します。
- このとき、シックネスゲージがあると高さ調整が正確に行えます。
補修のポイント・注意点
- 耐久性は高くないため、長期使用には向きません。 → あくまで「応急処置」または「調整用プロトタイプ」向き。
- 補修後も音の変化が出ることがあります。 → 特に高音弦(1弦〜3弦)は敏感。
- うまくいかない場合はナット自体を交換したほうが安心です。
なぜ「わざわざ」シックネスゲージを使うのか?

シックネスゲージを使用するメリットは以下のとおりです。
- 感覚や目視では分からない精度
0.15mmと0.30mmの違いは、見た目ではほとんど同じ。でも演奏性には大きく影響します。 - 「ビビり」の原因が即わかる
開放弦のビビりがナット由来かどうかを数秒で判断可能。 - プロも使う安心の基準
リペアショップでは必ず使用。DIYでもプロ基準の調整が可能に。 - 再現性がある
数値管理できるので、「前より少し低く」といった微調整もバッチリ。

シックネスゲージの他の使いかた
使用頻度が多い少ないよりも、シックネスゲージはメンテナンスの必須ツールといった感じです。
用途 | 説明 |
---|---|
① ナット溝の高さチェック | 1フレットを押さえた状態で、2フレット上の弦とフレットの間にゲージを差し込んで隙間を測定。理想的なナット高の確認に。 |
② フレット浮きのチェック | 音詰まりや弦高の異常がある箇所にゲージを差し込み、浮きをチェック。0.05~0.1mmの薄いブレードが適しています。 |
③ フレットと指板の隙間確認 | フレットと指板の間にゲージを入れて浮きをチェック。ハイ起きやネックのねじれの初期確認に有効。 |
④ ネックポケットのフィット確認 | ネックとポケットの接合部にゲージを差し込み、すき間がないか確認。密着度が低いと鳴りや振動伝達に悪影響が出る可能性あり。 |
⑤ ブリッジサドルのスキマチェック | サドルがしっかり接地しているか確認。傾きやガタツキがあると音にムラが出る場合があります。 |
⑥ ペグポストとブッシュのすき間確認 | チューナーのぐらつきや音痩せの原因を探るために、ポストとブッシュのフィット状態をゲージで確認。 |
⑦ 弦高・ピックアップ高さの簡易測定 | 特定の厚みのゲージを使って、弦高やピックアップの高さをノギスがわりにチェック可能。 |
おすすめのシックネスゲージの選び方

今私が使用しているのが、シンワの4枚組みです。
見ての通り最低限のスペックです。

誇れるのはシンワ製ということ
- 0.08
- 0.10
- 0.20
- 0.30
これだけでもナットメンテナンスはできます。
最高のスペックを求めるなら、以下の特徴の商品がおすすめです。
特徴 | 理由 |
---|---|
0.05mm〜1.00mm対応 | ナット・ネック調整どちらにも使える |
ステンレス製 | 丈夫で反りにくく、長持ち |
長さ100mm前後 | 弦の下にも差し込みやすい |
シンワの4枚組みでもナットの状態を把握することができますが、もっと枚数が多い商品もあります、そちらを選べば間違いありません。

0.30までの商品で十分だと感じます。

最後に、シックネスゲージのおすすめ商品をお伝えします。
新潟精機 ステンレスシクネスゲージ S172MB
- 厚さ範囲:0.04~0.30mm(9枚組)
- 長さ:100mm
- 材質:SUS304Hステンレス(錆に強い)
- 特徴:精度が高く、ナット溝やフレットの隙間測定に最適。
- 価格:約3,000円(税抜)

2. STRAIGHT シックネスゲージ 16-849
- 厚さ範囲:0.05~1.00mm(13枚組)
- 長さ:85mm
- 材質:ステンレス
- 特徴:コストパフォーマンスに優れ、ギターの弦高やピックアップ高さの調整にも便利。
- 価格:約380円(税込)
3. STRAIGHT シックネスゲージ 16-853
- 厚さ範囲:0.04~0.30mm(9枚組)
- 長さ:200mm
- 材質:ステンレス
- 特徴:長めのブレードで、ネックポケットやブリッジ周辺の隙間測定に適しています。
- 価格:約612円(税込)
まとめ
シックネスゲージを使えば、ギターの弾き心地を数値で管理できます。
ナット溝の「ほんの数ミリ」が演奏性に大きな違いを生むからこそ、測定の正確さがとても重要。
「ちょっと高い気がする」「ビビりが出るけど原因が分からない」
そんな時こそ、シックネスゲージが頼れる相棒になります。
DIYでのギター調整の第一歩に、ぜひ1本持っておくことをおすすめします!

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