配線を交換したいが、どれを選べばいいのか悩みますよね。
特にレスポールでは、
・トグルスイッチが断線した
・繋ぎ直したいが長さが足りない
といったトラブルがよくあります。
配線材を調べると種類は山ほどあり、価格帯もバラバラ。
正直、調べても「結局どれが正解か」は分かりにくいです。
結論から言います。
迷ったら、レスポール内部の配線には「もともと使われているシールド線」を選べば間違いありません。
レスポール配線で迷ったら「シールド線」を選べばOKな理

レスポールでよくある配線トラブル(断線・長さ不足)
私のレスポールのトグルスイッチ配線がアース線と一緒に断線しました。
トグルスイッチのナットが緩み放置した結果よくある事例です。
なぜ配線材選びが分かりにくいのか
ここで使用されていたのが、シールド線の4芯線でした。
これと同じのを買えば良いのですが、
「ギター」 「配線」 このキーワードで検索すると、このタイプは圧倒的に少数。
さらに、Googleで「レスポール」「配線」で検索して画像を見ても様々。
ギター配線は「メーカー」「年代」「趣向」で様々。
結論|迷ったら「もともと使われているシールド線」
で、何が正解かわからないわけです。
インターネットで検索してもなかなか、デフォルトで使用されている配線理由が言語化されてません。
おそらく、配線に「こだわり」や「持論がある方」はいると思います。
ここでは趣味のギターを楽しむ方へ向けて、
一般的に「これを選んでおけば間違いない」という記事になります。
レスポール配線リペアで使われる「シールド線」とは?

シールド線の構造と仕組み
シールド線とは、2層になっているケーブルで、
- 内部の導体(芯線)を絶縁体で覆われている
シールド線の効果(ノイズ対策・音質維持)
この構造により、シールド線の効果は、
- 外来ノイズの防止:静電誘導等の外部からのノイズから信号を保護します。
- ノイズの放出防止:ケーブル内部の信号が外部にノイズとして漏れ出すのを防ぎます。
- 静電容量の制御:適切なシールド線を選ぶことで、信号の高音域の減衰を抑制し、音質を維持できます。
まとめると、ギターをアンプ等に接続したときに、ノイズが発生しないように、または発信した音がノイズと化すのを防ぐためです。
ギター内部には外部からの電磁波やノイズ対策のカラクリがあちこちでされています。

アルミ箔をはったりね。

ギブソンの内部の金属プレートもそれ
そのノイズ対策を配線でもしましょう!ってことです。
理科の実験で使用した普通のビニール導線ではノイズが発生するかもしれないということです。
ギター内部で行われているノイズ対策との関係
絶対的にシールド線である必要はありませんが、悩んだらシールド線を選べば間違いありません。
音質に直結するピックアップからポッドへの配線やレスポールなどトグルスイッチから長いスパンのものはシールド線を使用するのが間違いない。
その他の部品と部品を繋ぐ近距離のものは普通のビニル皮膜でよいのかもしれません。

その辺の定義が言語化されていない
次はレスポール内部配線で一部損傷した場合、全交換すべきか?その解説です。
配線は全交換すべき?それとも1本だけでいい?

おそらく多くのレスポールが一本の太いコードから4本の配線+アース用の細い線がでているもの、または銀色の編みでシールドされた配線だと思います。
配線を全交換ではなく、切れた1本だけ交換することも可能です。
私自身はBELDENのシールドしていない配線を使用していますが、多少のノイズは覚悟の上での選択です。

これが一番安くて簡単な方法
BELDENのシールドは加工性がよくコスパもよいため初心者にはおすすめです。
関連記事;BELDEN 8503 フックアップワイヤーの特徴とメリット|ギター配線材で選ばれる理由
一本だけ配線を交換する場合の注意点
一本だけ配線を交換する場合、必ずしもシールド線が最適とは限りません。
特に短距離の配線では、普通のビニール被覆線でも十分です。
ただし、レスポールのトグルスイッチ周りなど配線距離が長く、ノイズを拾いやすい区間では、一本だけの交換でもシールド線を使う価値があります。
とはいえ、シールド線はシールド部分をアースに落とすという「アース設計」が前提になります。
シールドが適切にアースされていない場合、十分なノイズ対策効果は得られません。
ノイズが不安なら全部交換すればベストです。
既存の配線を撤去してあとはポッドに繋ぐだけです。
アースとは?深く知りたい方はこちら→レスポールアース線の基本 、初心者向けアース配線ガイド

エラーも少ないよね
1本だけ交換する方法はこちら→【DIY】音がでないレスポール内部配線リペア、全交換する?コスパ最高の部分交換
※既存配線のアース構成が不明な場合は、
無理にシールド線を使わず、元の配線構造に合わせる方が安全です。
シールド線のアースはどこに落とす?
シールド線を使う上で、意外と見落とされがちなのが「シールド部分(編組・網線)をどこにアースするか」 という点です。
結論から言うと、シールド線のシールド部分は、片側のみを確実にアースへ落とす
のが基本になります。
基本の考え方|ポットケース or アースポイント
ギター配線の場合、シールド部分のアース先は以下が一般的です。
- ボリュームポットのケース
- トーンポットのケース
- 既存のアースバス(アース線が集約されているポイント)
レスポールであれば、多くの場合ボリュームポット背面(ケース) に落とすのが一番シンプルで確実です。
既存配線がポット背面でアースをまとめている構造なら、そこに合わせるのが安全です。
なぜ「片側だけ」なのか?
シールド線のシールド部分を両端ともアースに落とすと、アースループ が発生する可能性があります。
アースループが起こると、
- ハムノイズが増える
- ノイズ対策のつもりが逆効果になる
といった本末転倒な結果になることもあります。
そのため、信号が出ていく側(ポット側)だけアースに落とすという考え方が、ギター配線では一般的です。
トグルスイッチ側はどうする?
レスポールのトグルスイッチ周りでは、
- 内部スペースが狭い
- アース処理が不安定になりやすい
という理由から、トグルスイッチ側ではシールド部分を浮かせる(未接続) ケースが多いです。
無理に両端をアースに落とす必要はありません。
既存配線の構造が分からない場合は?
既存の配線を一部だけ交換する場合、
- どこでアースが取られているか分からない
- 元がシールド線なのか、単線なのか曖昧
というケースも多いと思います。
その場合は、
- 元の配線構造をできるだけ踏襲する
- 無理にシールド線に変更しない
という判断も、実はかなり「正解」に近い選択です。
シールド線は、正しくアースしてこそ意味があるという点だけは、ぜひ覚えておいてください。
レスポールのシールド線の選び方の豆知識
配線の修理も趣味のギターの楽しみかただと思います。
確かに配線キットは簡単ですが、やっぱり面白くないと感じる人も一定数いるかと思います。
ここからは配線材の選び方の基準です。
レスポールの配線を選ぶときに、商品スペックを読むと思うのですが、一応以下の基準をしっていると判断材料になると思いますのでお伝えします!
- 導体素材
- 太さ
- 撚り線or単線
- 被膜材

この辺を押さえておくと良いですよ。
導体素材
一般的なのは銅です。
純度の高い銅を使用したシールド線は、信号の劣化を防ぎ、クリアな音を保ちます。

銀が一番良いのだが高価
配線の太さ
AWG値で表されます。
太い配線(小さいAWG値)ほど信号のロスが少なく、ダイナミックな音が得られます。
初心者には20-22AWG程度がおすすめです。
撚り線 or 単線
撚り線は柔軟性が高く取り回しやすいです。
単線はよりクリアな音が得られる傾向がありますが、硬いです。

初心者には扱いやすい撚り線がおすすめです。
被覆材
PVC被覆は一般的で安価です。
テフロン被覆はより高音質でノイズ低減効果がありますが、高価です。
初心者はコストパフォーマンスの良いPVC被覆から始めるのがよいでしょう。
ビンテージ感のある音が好きなら「プッシュバックワイヤー」もおすすめ

現代的なPVC被覆の配線材は扱いやすく安定していますが、
「もう少し枯れた感じの音がほしい」「50〜60年代っぽい雰囲気に寄せたい」
という人には、ビンテージ系ワイヤーという選択肢もあります。
とくに定番なのが、Gavitt(ガヴィット)のビンテージ・クロス被覆プッシュバックワイヤーでGavitt ビンテージ・クロス被覆プッシュバックワイヤーの詳細レビューはこちら→【ギター配線悩んだらこれ】ルシアーオブジャパン Gavitt製 ビンテージクロスプッシュバックワイヤー
この配線材は、
- クロス被覆による独特のビンテージ感
- プッシュバック構造で被覆を剥かずに配線できる
- レスポールやストラトなど、ビンテージ系配線との相性が良い
といった特徴があります。
「音の変化は微差」ではありますが、配線材・ポット・コンデンサまで含めてトータルでビンテージ寄りにしたい人には、満足度の高いパーツです。
プッシュバックワイヤーはハンダ付け温度にも注意
ビンテージ系のクロス被覆ワイヤーは便利な反面、
- 温度が低すぎてハンダが乗らない
- 温度が高すぎて内部導線を傷める
といった失敗も起こりやすいです。
特に「音がこもった」「すぐ断線した」というケースは、ハンダごての温度設定ミスが原因であることが少なくありません。
ギター配線に適したハンダごての温度はこちらで詳しく解説しています
【ハンダ作業】ギターパーツごとの“最適温度”一覧と設定温度の正解は?リペア初心者でも失敗しない基準を解説
配線材の性能を活かすためにも、適切な温度設定+確実なハンダ付けはセットで考えるのがおすすめです。
まとめ
配線にシールド線を使用することで、ノイズの低減、音質の保持、信号の保護という重要な機能を果たし、ギターの音色を最大限に引き出すことができます。
リペアはギターの楽しみ方の一つです、配線をイジれるようになるとピックアップの交換やカスタマイズの楽しみが広がっていきます。
昨今の物価高で自分でできる修理は自分でしたいというニーズが高まっていると感じます。
さらに、昨今はギターパーツも安いものがあります。
冒険してみると面白いかもしれませんね。
「レスポール 配線 どれ」「ギター 配線 選び方」で迷っているなら、まずはシールド線を選んでおけば失敗することはありません。


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