ギターの配線を自分で交換したり、ピックアップを交換したりするときに必要になるのが「はんだごて」です。
でも、いざ買おうとすると、
- ギターには何Wのはんだごてが必要?
- 30Wでは足りない?
- 何℃に設定すればいい?
- ポット裏のはんだだけ溶けないのはなぜ?
- 初心者はどのはんだごてを選べばいい?
と、意外と分からないことが多いと思います。
結論からいうと、ギターの配線に使うなら温度調整ができるはんだごてがおすすめです。
特にこれからギターの改造や修理をするなら、温度を調整できる機種を選んでおくと、細い配線からポット裏のアースまで対応しやすくなります。
この記事では、ギターの配線に使いやすいはんだごてと、「はんだが溶けない」「30Wでは足りない?」といった疑問をまとめました。
ギター用はんだごておすすめ3選
ギターの配線に使うはんだごてを選ぶなら、私は次の3タイプを候補にします。
1.HAKKO FX-600

これからギターの改造・修理をしていくなら、まず候補にしたいはんだごてです。
FX-600は50Wで、温度を200~500℃の範囲で調整できます。
こて先も交換でき、メーカーでは30種類以上の交換こて先を用意しています。
ギターの配線では、
- ピックアップ交換
- ポット交換
- ジャック交換
- 配線のやり直し
- アース線のはんだ付け
など、いろいろな作業があります。
温度調整ができるので、作業内容に合わせて設定を変えられるのが便利です。
「安いセットを何度も買い替えるより、ある程度ちゃんとしたものを最初から使いたい」という人向けです。
2.goot PX-280

PX-280は、デジタル表示で温度を設定したい人に向いています。
消費電力は80W、温度設定範囲は200~500℃です。
メーカーによると、ステーションタイプの機能を本体に搭載し、熱回復力にも配慮した設計になっています。
FX-600のようなダイヤル式ではなく、温度を数字で確認しながら使えるのが特徴です。

「今、何℃に設定しているのかを正確に確認したい」という人には分かりやすいと思います。
3.2,000円前後のはんだごてセット

「ギターの配線を一度やってみたいだけ」という場合は、最初から高価なはんだごてを買う必要はありません。
2,000円前後で、
- はんだごて
- こて台
- はんだ
- はんだ吸い取り線
- その他の簡単な工具
などがセットになった商品もあります。
ただし、安価なセットは温度調整ができなかったり、熱量が十分でなかったりする場合があります。
そのため、
「これから何度もギターを改造する」なら温度調整式、
「とりあえず一度試したい」なら安価なセット
という選び方でもいいでしょう。
ギターのはんだごては何W必要?
ここはよく聞かれるところですが、「○Wあれば必ずOK」という単純な話ではありません。
30Wだからギターには使えない、というわけでもありません。
一方で、ギターのポット裏など、熱を奪われやすい場所では、30W程度のはんだごてでは作業しにくいことがあります。
重要なのは、
はんだごてのワット数だけでなく、こて先の温度を維持しながら対象へ熱を伝えられるか
ということです。
例えば、ピックアップの細い配線とポットの裏側では、必要になる熱の伝わり方が違います。
そのため、ギターの配線をこれから本格的にやるなら、温度調整ができる50W前後以上の機種を選んでおくと使いやすいでしょう。
ちなみに、HAKKO FX-600は50Wですが、200~500℃の温度調整に対応しています。
30Wのはんだごてでもギターの配線はできる?
できます。
特に、
- 細い配線
- ピックアップの配線
- ジャックの端子
- 基板上の小さな部品
などでは、30W程度でも作業できる場合があります。
ただし、ポット裏のような大きな金属部分にアース線をはんだ付けする場合は話が変わります。
ポット本体に熱を奪われるため、
「はんだごてを当てているのに、はんだが溶けない」
ということが起こります。
ここで、
30Wだから絶対にダメ
と考えるより、
熱を対象に十分伝えられているか
と考えたほうが分かりやすいです。
はんだが溶けない原因は?

はんだが溶けないときは、ワット数だけを疑う必要はありません。
主に次のような原因があります。
1.こて先が酸化している
こて先が黒くなっていたり、はんだがうまく乗らなかったりする場合は、こて先の状態を確認してください。
こて先にはんだが乗らないと、熱がうまく伝わりません。
2.こて先が小さすぎる
細いこて先は細かい作業には便利ですが、ポット裏など大きな金属部分へ熱を伝える作業では不利になることがあります。
「温度は高いのに、なかなか溶けない」という場合は、こて先のサイズも確認してみましょう。
3.古いはんだが残っている
ギターの改造では、もともと付いている古いはんだをそのまま溶かして作業することがあります。
しかし、古いはんだが多く残っていると作業しにくいことがあります。
必要に応じて、はんだ吸い取り線などで古いはんだを取り除いてから、新しいはんだを使うと作業しやすくなります。
4.はんだごての熱量が足りない
温度を設定できるはんだごてでも、対象に熱を奪われると、実際の作業では思ったようにはんだが溶けないことがあります。
その場合は、
- こて先を見直す
- こて先にはんだを少量乗せる
- 作業対象をあらかじめ温める
- より熱量のあるはんだごてに変更する
といった方法を試します。
ギターのはんだごては何℃に設定する?
「何℃にすればいいの?」というのもよくある疑問です。
ただし、すべてのギターの配線を同じ温度で作業すればいいわけではありません。
はんだの種類、部品、こて先の大きさなどによっても変わります。
私なら、まず次のような温度から試します。
| 作業 | 温度の目安 |
|---|---|
| 細い配線・電子部品 | 300~320℃程度 |
| ジャック・ポット端子 | 330~350℃程度 |
| ポット裏のアース | 350~400℃程度から調整 |
| 鉛フリーはんだ | 350~380℃程度から調整 |
あくまで作業開始時の目安です。
「この作業は必ず○℃」と決めるのではなく、できるだけ短時間ではんだ付けできる温度を探すという考え方が分かりやすいと思います。
はんだは何℃で溶ける?
ここで注意したいのが、
はんだの融点と、はんだごての設定温度は同じではない
ということです。
例えば、HAKKOの資料では、鉛入り共晶はんだの融点は183℃、鉛フリー共晶はんだでは227℃、別の鉛フリーはんだでは217~220℃とされています。
つまり、
「はんだが183℃で溶けるなら、はんだごても183℃にすればいい」
というわけではありません。
はんだ付けでは、こて先から部品や配線へ熱を伝える必要があります。
そのため、実際の作業では融点より高い温度にこて先を設定します。
「はんだは溶けるのに、ポット裏だけ溶けない」場合
これはギターの配線でかなり起こりやすい問題です。
細い配線では普通にはんだが溶けるのに、
ポットの裏側にだけ、はんだが乗らない。
こんな状態です。
これはポットの金属部分が熱を奪っていることが原因の一つです。
この場合は、
- こて先の状態を確認する
- こて先にはんだを少量乗せる
- ポット裏をこて先でしっかり温める
- はんだを当てる
- はんだが流れたら、こてを離す
という順番で作業します。
それでも難しい場合は、こて先のサイズやはんだごて自体を見直します。
温度を上げてもはんだが溶けないときは?
温度を上げれば解決するとは限りません。
まず確認してほしいのが、こて先にはんだが乗るかどうかです。
こて先が黒く酸化して、はんだが玉のように弾いてしまう場合は、熱がうまく伝わりません。
また、こて先が細すぎる場合も、大きな金属部分へ熱を伝えるのが難しくなります。
つまり、
温度を上げる前に、こて先の状態とサイズを確認する。
これが大切です。
それでも改善しない場合は、はんだごての熱量不足を疑います。
ギターのはんだ付けに必要な工具

はんだごて本体だけあればいいわけではありません。
最低限、次のようなものがあると作業しやすくなります。
- はんだごて
- はんだ
- こて台
- こて先クリーナー
- はんだ吸い取り線
- ニッパー
- ラジオペンチ
特にこて台は用意しておいたほうがいいです。
熱くなったはんだごてを机の上に直接置くのは危険です。
また、こて先をきれいな状態に保つためにも、クリーナーは用意しておきたいところです。
ギターのはんだ付けで失敗しないためのポイント

はんだごてを長時間当て続けない
「溶けないから」と、ずっとこて先を当て続けるのは避けましょう。
部品や配線に余計な熱が加わる可能性があります。
はんだをこて先だけで溶かさない
できれば、こて先から対象物へ熱を伝え、対象物側ではんだを溶かすイメージです。
そのためにも、こて先の状態を良くしておくことが大切です。
こて先には少量のはんだを乗せておく
こて先に少量のはんだを乗せることで、熱が対象へ伝わりやすくなります。
ただし、必要以上にはんだを盛る必要はありません。
ギター初心者ならどのはんだごてを選べばいい?
これからギターの配線を何度もやるつもりなら、温度調整できるはんだごてをおすすめします。
私なら候補として、
をまず考えます。
50Wで200~500℃の温度調整ができ、こて先も交換できます。
「もっと温度を数字で管理したい」という人なら、デジタル表示のPX-280も候補になります。
一方、
「ギターを1回だけ改造してみたい」
という程度なら、2,000円前後のセットから始める方法もあります。
はんだ付けは実際にやってみないと分からない部分も多いので、最初から高価な道具を全部そろえる必要はありません。
まとめ|ギター用はんだごては温度調整できるものが使いやすい
ギターの配線に使うはんだごては、単純に「何WならOK」と考えるより、温度調整のしやすさや熱を伝えやすいこて先なども含めて選ぶのがおすすめです。
特に、
- ピックアップ交換
- ポット交換
- ジャック交換
- アース配線
- ギターの修理
などを自分でやってみたいなら、温度調整できるタイプを選んでおくと使いやすいでしょう。
また、
「はんだが溶けない=すぐにワット数不足」
と決めつける必要もありません。
こて先の酸化、こて先のサイズ、古いはんだ、熱の伝わり方などを確認してみてください。
それでも難しい場合に、はんだごてそのものを見直せばOKです。
ギターの配線は、最初は難しく感じますが、一度覚えてしまうとピックアップ交換やポット交換など、自分でできることがかなり増えます。
まずは無理に高価な道具をそろえず、自分がどこまでギターをいじるのかに合わせて選ぶといいと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. はんだは何℃で溶けますか?
一般的な鉛入りはんだは約183℃、鉛フリーはんだは約217〜227℃で溶け始めます。
ただし、実際のギター配線ではポットやジャックなどの金属パーツにも熱を伝える必要があるため、はんだごては330〜400℃程度に設定して作業するのが一般的です。
Q2. 30Wのはんだごてでもギターの配線はできますか?
細い配線やコンデンサーの交換程度であれば可能な場合もあります。
しかし、ポット裏のアース配線のように金属量が多い部分では熱量が不足しやすく、「いつまでたってもハンダが溶けない」という原因になることがあります。
ギターの配線作業では、40W以上または温度調整機能付きのはんだごてがおすすめです。
Q3. ポット裏だけハンダが溶けないのはなぜですか?
ポット裏は金属の面積が大きく、熱が逃げやすいためです。
温度不足だけでなく、
- コテ先の酸化
- ワット数不足
- 古いハンダの酸化
なども原因になります。
長時間当て続けるよりも、適切な温度とはんだごてを使用して短時間で作業する方が成功しやすくなります。
Q4. 高温で作業するとポットは壊れますか?
温度そのものよりも、長時間熱を加え続けることが問題です。
適切な温度に設定し、数秒ではんだ付けを終えればポットが壊れる可能性は低くなります。
逆に、温度が低くて何十秒も当て続ける方が、ポット内部へ熱が伝わりやすく故障の原因になることがあります。
Q5. 初心者にはどんなはんだごてがおすすめですか?
ギターの配線を何度も行う予定なら、温度調整機能付きのはんだごてがおすすめです。
パーツに合わせて温度を変更できるため、
- ポット裏
- ジャック
- コンデンサー
- ピックアップのリード線
などを安全かつ効率よく作業できます。
初めて購入する場合でも、長く使える1台を選ぶことで失敗が少なくなります。


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