ギターをアンプにつないでも音が出ない、または特定のポジションだけ音が小さい/片側だけ鳴らないといったトラブルは非常に多く、原因はさまざまです。
本記事では特に「セレクタースイッチ」に焦点をあて、原因の切り分け方法とチェック手順を詳しく解説します。

セレクタースイッチはピックアップ信号の通り道です

接点不良や摩耗は、
ピックアップやポットが原因と勘違いされやすい
そもそもセレクタースイッチとは?

セレクタースイッチの役割は以下のとおりです。
- ピックアップの信号を選択してアウトプットジャックに送る
- 正常なら各端子間がスムーズに導通する
- 不良があると音が途切れたりノイズが発生
本記事では、故障の確認にテスターを使用します。
手順通り作業することで、故障の判断ができます。
トグルスイッチ(レスポール系)の点検方法

トグルスイッチの導通確認は、リード線が接続された状態でも基本的には可能です。
配線を外す手間を省き、スイッチと接続されているポットやピックアップも含めて回路全体での導通チェックができます。
ただし、接続されているパーツ(ボリュームポットやトーンコンデンサなど)の影響で、テスターの導通表示や抵抗値が実際の状態と異なる場合があります。
特に片側だけ音が出ないなど微妙な症状がある場合は、該当ピックアップやポットのリード線を一時的に外して、スイッチ単体で導通確認を行うと正確です。
端子構成

トグルスイッチの構成は、商品により違いますがおおよそ以下のとおりです。
- 左端子:ネックPU(フロント)
- 右端子:ブリッジPU(リア)
- 中央端子:出力(ボリュームポット→ジャック)
- アース端子:フレーム接続
導通チェック手順
1,テスターを導通モード(ブザー音)に設定

2,スイッチをフロントに切り替え:左端子↔中央端子の導通確認

3,リアに切り替え:右端子↔中央端子の導通確認
4,センターに切り替え:左端子&中央端子、右端子&中央端子の両方導通確認
各ボジションで導通ブザーがなれば正常ということです。

ワニクリップがあると便利です
よくある不良
- フロント/リアだけ鳴らない → 片側接点不良
- センターで片側しか鳴らない → 内部接触不良
- 全体が途切れる/ノイズ → 出力端子の接触不良
レバースイッチ(ストラト系)の点検方法

レバースイッチ(ストラト系)の導通確認も、リード線が接続された状態で行うことは可能です。
配線を外さずに、スイッチと接続されているピックアップやポットも含めて回路全体の導通を確認できます。
ただし、複数の端子が同時に導通するポジション(センターなど)では、接続されているポットやコンデンサの影響でテスターの導通表示が実際の接点状態と異なることがあります。
特に片側だけ音が出ない、音量が不安定といった症状がある場合は、該当ピックアップやポットのリード線を一時的に外し、スイッチ単体で導通確認を行うことが正確です。
導通チェック手順
ギターのレバースイッチ(ピックアップセレクター)には、複数の端子があります。
共通端子「出力側」 というのは、ボリュームポット(またはジャック)へ信号を送る端子 のことです。
一般的な構造は、
- [ピックアップ側端子] ← 3つ(フロント/センター/リア)
- [共通端子(出力側)] ← 1つ(中央や端にある)
- 3つの端子:各ピックアップからの信号が入る場所
- 1つの共通端子(出力側):選ばれたピックアップ信号がここから出る
- スイッチを観察して「3つ並んだ端子」と「少し離れた1つの端子」があるなら→ 離れた1つの端子が 出力側(共通端子)。
- ストラトの場合、5WAYスイッチの 中央寄り・片側にある単独の端子 が出力側。
- テレキャスターなどの3WAYスイッチも同様で、ピックアップ3本の反対側にある「孤立した端子」が出力です。
テスターを導通モードに
テスターを「ブザー(導通)」モードに設定します。
ブザーがない場合は、抵抗値が0Ωに近くなる位置で代用できます。
各ポジションで導通を確認

レバーを「ネック側」にしたとき

- テスターの黒リードを「共通端子」に
- 赤リードを「端子①」に
- ピッと鳴れば → その端子①はネック側ピックアップ用
レバーを「ブリッジ側」にしたとき

- 黒リードを同じく「共通端子」に固定
- 赤リードを「端子②」に
- ピッと鳴れば → その端子②はブリッジ側ピックアップ用
レバーを「中央」にしたとき
共通端子から両方(①②)へ導通するはず→ 両ピックアップがミックス状態(通常)
導通結果一覧
| スイッチ位置 | 導通する端子 | 状態 |
|---|---|---|
| 前(ネック側) | 共通 ↔ 端子① | ネックピックアップのみ |
| 中央 | 共通 ↔ ①・②両方 | 両方ミックス |
| 後(ブリッジ側) | 共通 ↔ 端子② | ブリッジピックアップのみ |
よくある故障
- 特定ポジションで音が出ない → 接点不良
- 2/4で片側しか鳴らない → 並列導通が切れている
- ガリ音・途切れ → 接点酸化や摩耗
不良時の対処法
詳しくはこちら→ギターのトーンが効かない/変化が鈍い原因と対処法

スイッチ不良はピックアップやポットの故障と勘違いされやすいので、まず導通チェックで切り分けを行いましょう。
まとめ
- セレクタースイッチは「入力端子 ↔ 出力端子」の導通をテスターで確認する
- トグルスイッチ=左右入力+中央出力、レバースイッチ=入力列+共通出力
- 軽度なら接点復活剤、摩耗や劣化は交換で対応
【まとめ】ギター修理・導通チェックに使えるおすすめテスター
以下で紹介するテスターは、導通・断線チェックが正確にできるうえ、コスパも優秀です。
ギター修理や配線の確認を始めたい方は、まずこの中から選べば間違いありません。
デジタルテスター売れ筋
| メーカー | 商品名 | 型番 | 参考価格(税込) | 1か月の売上件数(目安) | 主な特徴・備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| OHM(オーム電機) | 普及型デジタルテスター(大型ロータリースイッチ) | TST-KJ830(08-1288) | 1,300円 | 3000点 | トランジスタチェック機能付き。初心者でも扱いやすい定番モデル。 |
| HIOKI(日置電機) | 日置電機 3244-60 ( テスター デジタルマルチメーター DMM ) カードハイテスタ 日本製 電圧 抵抗 導通 電気 測定 小型 | 3244-60 | 4,509円 | 900点 | 日本製の高精度テスター。薄型・軽量で携帯性に優れる。 |
| TESMEN | TESMEN TM-510 テスター 、4000カウント デジタル 小型 マルチメーター、スマート測定オートレンジ、非接触電圧検知機能付き、 AC/DC電圧計 抵抗 連続性 – グリーン | TM-510 | 1,799円 | 800点 | 4000カウント表示、オートレンジ・非接触電圧検知機能付き。 |
| AstroAI | 6000カウント テスター デジタル マルチメーター オートレンジ 電圧 電流 真の実効値 抵抗 連続性 静電容量 周波数 電圧計 ダイオード トランジスタ 温度測定テスター 手動 自動モード | 6000カウントモデル | 3,799円 | 500点 | 真の実効値(True RMS)対応。静電容量・周波数測定も可能。 |
アナログテスターのおすすめ
| メーカー | 商品名 | 型番 / 品番 | 参考価格(税込) | 1か月の売上件数(目安) | 主な仕様・特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| ELPA(エルパ/朝日電器) | アナログテスター | EAT-02NB | 1,782円 | 100点 | 導通チェックブザー付き ミラー付き目盛板・テストリード保護キャップ付き |
| OHM(オーム電機) | アナログテスター 多機能タイプ | TST-AN501(品番 08-1286) | 1,473円 | 50点 |
デジタルとアナログの違いまとめ
| 種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| デジタル | 数値が正確・見やすい・ブザー付きが多い | 初心者・正確に測定したい人 |
| アナログ | 針の動きで変化が直感的に分かる | 慣れている人・感覚的に確認したい人 |
ギターリペアではワニクリップが必須です、合わせて購入をおすすめしますよ。


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