この記事は、フェンダータイプのナット交換で「牛骨ナット交換方法」をお伝えします。
昨今の物価高でギターリペアを自分でしたいと考えていませんか?
私も「ちょっと背伸びしてできそうな作業」は、自分でしたいと考えている人間の一人です。
今回使用するのは、ほぼ整形済みの牛骨ナットを使用します。
まさに未経験でもちょっと背伸びをすれば交換できます。
牛骨ナットは、完成品に近い状態のものが販売されているので、リペア初心者でも交換は可能です。
交換をプロに頼まないメリットはなんと言っても費用です。
後述しますが、牛骨ナットはプロに頼むと5000円ほどですが、自分ですれば素材自体は1000円ほどで可能です。
整形に必要な道具はナット整形のためだけのものではなく、ギターメンテナンスでオールマイティーに使用できる道具なので持っていて損はありません。

整形に必要なものは紙やすりくらいです。
必要な道具は以下のとおりです。
- 弦高ゲージ
- R測定ゲージ
- 紙やすり
- 棒やすり
- ナットファイル(任意)
- 瞬間接着剤

最低限これだけあれば作業はできます。
エレキギターナット交換、整形方法やるべき3つの調整

今回は溝が切ってある整形済みのナットを使用します。
Musiclily 42mmエレキギター牛骨ナット弦溝加工済みボーンナットフェンダーストラト/テレキャスターギター用、42×3.5×4.5mm (2個)です。
776円でした。

しかも2個入り

1個失敗しても大丈夫
これをマイギターのテレキャスターにマッチするように整えていきます。
- 厚み
- 高さ
- 底辺R
この3点を調整して完成になります。
【DIYリペア】ギターナット比較、ブラスナット・牛骨ナット、交換するならどっちがベスト?
完成の状態とは?
まずは完成の例です。
以下の画像は、ブラスナットの例になります。
検討されているかたはこちら
まずは、ナットポケットにちょうど収まり幅に削ります。

なおかつナットの底辺は、指板Rと同様のR加工をします


1.2フレット頂点の延長にナット溝がある。

以上が理想の完成形になります。

牛骨ナットは削りやすいのでサクサク作業が進みます。
解説します。
ナット厚み調整
まずは牛骨ナットをナット幅に合うようにナットを研磨します
その前に、安全な方法でナットを取り外す必要があります、下記のリンクで解説しています。
【失敗事例あり】フェンダーギター、ナットの取り外し方、自分でリペアしたい人必見
購入したナットは、ナット溝よりも厚みがあるため、やすりで厚さを削ります。
0.6mmほどです。

ノギスで溝幅とナット幅を計測すると削りとる目安がわかる

400番の紙やすりでも十分削れます。
これ以上荒いと、おっと削りすぎた・・・というトラブルも考えられます。


収まりました。
ナット高さの調整

ナット高さをどの程度削るのか?
目安は、
ナット溝の高さが、フレット頂点の高さと同じレベルになるようにセッティングします。

これがナット高さ研磨の目安になります。
弦高ゲージを1、2フレットにベタにあて、その先にナット溝がドンピシャになるように高さを落とします。
弦高ゲージはその名の通り、弦高を測定する道具です。

弦高ゲージはメモリが付いているので、どの程度高さを削ればよいか分かり易いです。
今回は1mmほど削ります。
ここからナット底辺にRをつけるので、余白をのこして高さを研磨していきます。

Rをつける

ラジアスアールを使用して、ネックポケットのRを測定してから、ナット底辺にRを描きます
ラジアスアールの大体の商品が9本入りで、各種ギター指板アールを網羅しています。

このテレキャスターは10Rです。
Rをつけないと1、6弦側が浮いた状態のままです。

ナット高さをこれ以上落としたくないので、ラジアスゲージの底辺をナットの両端底辺に合わせます。
ペンでナットにガイドラインを入れます。

棒やすりを駆使して墨線に沿って研磨します。

のこやすりがRをつけるのに便利です。

これでナット研磨作業は終了になります。

1、2フレットの延長にナット溝があるのでバッチリです。


作業は1時間30分ほどでした。

試奏して問題なければ少量の瞬間接着剤で止めて完了です。

おすすめの牛骨ナット(プレカット・整形済み)
ナット購入時の注意点は、お手持ちのギターのナット幅を必ず確認することです。
例えば、フェンダータイプの場合は42mmと43mmの商品があります。
さらに、ギブソンタイプやアコギタイプなども当然選ぶ必要があります。

自分でリペアは自己責任の世界
せっかく交換するなら、良質なナットを使用したいですよね。
工賃がかからないので、値段を気にすることなく自分の好きな素材を選ぶことができることは自分でリペアするメリットだと思います。
ここでは、おすすめのナットを紹介します。
① Graph Tech / TUSQ PQシリーズ(実は樹脂だけど超優秀)
- プレカット済み、整形精度高い
- 音の抜け・サスティンが非常に良い
- 「牛骨じゃないけど牛骨以上」と評されるほどの定番
- 例:PQ-5000(ストラト/テレ用)、PQ-6116(レスポール用)
※TUSQは樹脂製ながら高音質、牛骨と迷うならまずこれを検討しても◎

R加工がされているので、取り付けは超簡単です。

② Hosco / プレカット牛骨ナット
- 日本のリペア用品メーカー。品質安定
- ギター用に特化した各種サイズあり
- HOSCO NB-120(ストラト用 42mm)、NB-125(レスポール用 43mm)など

③ Musiclily 42mmエレキギター牛骨ナット
とにかく安く交換したいならこちら。
今回使用してみて、削り安く施工しやすいと感じました。
2本入りなので1本失敗しても大丈夫という安心感があります。
ただしナットにアールが付いていませんので、ギターの種類によっては、アール加工の手間が発生します。

牛骨ナット必要な道具まとめ
牛骨ナット整形にあると便利なツールを最後に紹介します。
弦高ゲージ

その名の通り弦高ゲージは弦高を測定するために特化した道具です。
これ一枚持っていると、弦高だけではなく、ピックアップの高さ、またナット各弦の溝の墨出しなど、ギターのあらゆる計測に使用することができます。
整形されていないナットから、ナットを作成したいと考えている人にも大変便利なツールです。

1000円ほどなので持っていないなら購入をおすすめします

R測定ゲージ

ラジアスゲージですが、おそらくギターリペアに関心を持たなかったら買っていない商品かと思います。
ギター指板のR確認に使用される道具です。

ギターの種類でRが違います
ラジアスゲージでわかることをお伝えします。
1. 指板Rの確認
- 指板のアール(湾曲の半径)を確認するために、Rゲージを直接フレットの上に当てて測定します。
- 例:ストラトキャスター → 一般的に7.25インチR、現代仕様は9.5インチRなど。
2. ブリッジサドルの調整
- 弦高を指板Rに沿って均一にするため、Rゲージを弦の上に当ててチェック。
- 各サドルの高さを微調整して、全体のカーブが指板と一致するようにします。
3. ナット加工時の目安
- ナット溝の高さを整える際、指板Rと整合性を取るためにRゲージを使って全体のアールを確認。
4. フレットすり合わせ後のチェック
- フレットをすり合わせた後、Rゲージを使ってアールが崩れていないかチェック。
- フレットクラウンの均一性を確認するのに役立ちます。
5. 新しいナットや指板の製作
- DIYで指板やナットを自作・交換する際、既存のRを再現するために測定。
- 同様にブリッジプレートの交換時にも使用。

ナットファイル
ナットファイルはナット溝を掘るための道具です。
整形済みのナットはあらかじめ溝がほってあるのですが、ナットをペグ側に45度角度をつけて溝を掘ると響きが良くなったり、弦のサイズによってはナット溝を広げる必要があります。
ナットファイルがあればさらにナットをカスタマイズできるツールになります。
必須ではありませんが、ナットリペアで完璧を求める方は必須ツールになります。
まとめ

ナット交換は慎重に作業を行えば素人でも問題なく交換できるリペアです。
ナット素材自体は安いので挑戦してみる価値ありですよ。
注意点は、既存のナットを外す時です。
昨今のギターはナットが塗装とボンドで強靭にネックにくっついている場合があります。
それを無理やり外すとナット付近の木材がめくれてしまうリスクがあります。

ギターを痛めないように作業しよう
そこだけは十分な注意が必要です、詳しくはこちらをご覧ください。
【失敗事例あり】フェンダーギター、ナットの取り外し方、自分でリペアしたい人必見


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