ギター配線を自分でいじるようになると、疑問が次々と湧いてきます。
「レスポールのトーンポットのアースはなぜ3辺だけ?」
「4辺囲んだほうが良いのでは?」という点は、ノイズ対策したい方は疑問に思う要素ではないでしょうか?
この記事では、レスポールのアース配線について「なぜ3辺だけなのか」「4辺を囲むとどうなるのか」、さらに「導電塗料がない場合でも同じ考え方でよいのか?」を検証結果と共に丁寧に解説します。
レスポールのアース配線、3辺と4辺でノイズ比較

レスポールの配線では、トーンポットやボリュームポットの金属ケースをアース線でコの字型に繋ぐことが一般的です。
私のレスポールはノイズが気になっています、そこでアース線で4辺繋いだら改善するかもしれないと思っていました。

基本は3辺ですが
なぜ4辺で囲まないのでしょうか?

フツーに考えて4辺全部繋いだ方が良い気がするが
4辺にしてノイズがどう変化するのか?まずは試してみました。
まずは検証結果から

ベルデン製のアースワイヤーを一本追加して3辺から4辺にしました。
- 3辺のディストーション時のノイズ
- 4辺のディストーション時のノイズ
以上を比較したいと思います。
アースワイヤー3本

ディストーションをかけると結構、ノイズがあります。
アースの役割をしていたアースプレートをはずしてから、ノイズが気になります。
現行配線プレート撤去、レスポール、モコモコサウンドからの脱却。アース配線をカスタマイズ。
アースワイヤー4本

こちらは、アース線を4本化にしたノイズです。

違いがわからん
私にはアース3本との、違いがわかりませんでした。
わざわざ4本化にする必要はない気がします。
だから3本が基本なんですよね。
レスポールのアース配線が3本で良い理由

先ほどの検証結果で、ポッドを4本繋ぐことのメリットはないように感じたかと思います。
ここでは、アース線が3本で良い理由をお伝えします。
良かれと思った配線も電気的にみると、やってはいけない配線だったりする可能性があります。
アース線が3本で良い理由は以下のとおりです。
- グラウンドループを防ぐため
- アースとして機能するには3辺で十分
- メンテナンス性の向上
以下で詳しく解説します。
1. グラウンドループを防ぐため
4辺を囲んでしまうと、電流が複数のルートを通ってしまい、”ループ回路”が形成されるリスクがあります。
これがいわゆるグラウンドループで、ハムノイズやブーン音の原因になることがあります。
アース線を3辺にとどめることで、電流は一筆書きのように流れ、不要な誘導電流を防ぐことができます。
これは電気的にとても重要なポイントです。

4本化は余計な仕事になります
2. アースとして機能するには3辺で十分

金属ケースは導通しているため、1つのポットをアースに接続し、他のポットと線で繋げば、全体が一体化したアースになります。
電気的には4辺目を加える必要はありません。

画像の黄色部分にもう一本アースを足すのは、
ポッドの背中が混雑してしまう。
むしろ、余計な線が増えることで作業が煩雑になったり、ノイズを拾いやすくなったりすることもあります。
3. メンテナンス性の向上
4辺を囲んでしまうと、後からのメンテナンスが非常に大変になります。
ハンダ付け箇所が増え、ポットの交換や再ハンダ時にすべての線を取り外す必要が出てくることも。

実際に施工してみると厄介だった・・・
3辺だけにしておけば、最低限の接続で機能しつつ、作業も簡単になります。
誘電塗料(導電塗料)が塗られていない場合はどうか?

「キャビティに導電塗料を塗っていない場合は、4辺で囲んだほうがよいのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、結論から言えば、それでも3辺で問題ありません。
- 金属ケース同士の導通がアース効果を果たす
- 4辺にするとノイズが逆に増えることも
- アース構造全体を見直すほうが効果的
1、金属ケース同士の導通がアース効果を果たす
導電塗料やシールド箔がなくても、金属製のポットケースをアース線で繋ぐことで、ある程度のシールド効果を得ることができます。
3辺だけでも、全ポットが電気的に繋がっていれば十分です。
2、4辺にするとノイズが逆に増えることも
導電塗料がないからといって4辺で囲むと、前述のグラウンドループが発生しやすくなります。
これは本末転倒。アースは「最小限かつ確実」に繋ぐのがベストです。
3、アース構造全体を見直すほうが効果的
導電塗料がない状態でノイズが気になる場合は、以下のような追加対策が有効です。
- キャビティにアルミテープを貼る
- 導電塗料を後から塗布する
- シールド付き配線材を使用する
- スターグラウンド配線に変更する
間違って4辺を囲んでしまった場合は?
必ずしもノイズが出るわけではありませんが、不要なループができるリスクは高まります。
特にレコーディングやハイゲイン環境では差が出る可能性があります。
もし4辺で囲んでいてノイズが気になる場合は、一度1箇所のアース線を外して3辺接続に戻し、音の違いを確認してみましょう。
まとめ
アース配線は「多ければ安心」ではなく、正しいルートが大切です。
レスポールのように複数のポットが並ぶ構造では、3辺のアース配線がもっともシンプルで、ノイズリスクを抑えた方法になります。
理由 | 解説 |
---|---|
グラウンドループの回避 | 余計な電流の循環を防ぎ、ノイズを軽減 |
電気的に3辺で十分 | すべてのポットがアースされていればOK |
メンテナンス性 | 再ハンダやポット交換が楽になる |
導電塗料なしでも3辺でOK | 金属ケース同士の接続で機能を果たせる |
導電塗料がない状態でも、基本さえ押さえれば問題ありません。
DIY派の方は、見た目よりも”電気的に無駄がないか”を意識して、トラブルの少ない配線を目指しましょう。
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