ナット交換をしたいと考えた時に、まずショウガイになるのがナットを外せるのか?ですよね。
この記事は「フェンダーギターのナット外し方」を解説しました。
ナットの取り外しをしてみたが、ナットがとれないという方も一読いただければと思います。
今回フェンダーUSAのテレキャスターのナットを交換しました。
そこで作業中にトラブルが起こりました。
これからDIYでナット交換をしようと思っている方へ、有益な情報をお届けできると思い、アウトプットします。

プロに頼むと1万くらいする

この物価高、できれば自分でしたわ
フェンダーギター、ナット外し「手順」と「注意点」

2012年製造テレキャスターのナットを外しました。
力ずくで外そうとすると、ナットと一緒にまで剥がれてしまう可能性があります。
ですので、
力ずくで外さなくても良いような、前処理が必要になります。
今回は私の体験を踏まえて安全なナットの外し方をお伝えしていきますよ。
使用する道具は「喰い切り」以外はホームセンターで揃う道具ばかりです。
- マスキングテープ
- カッター(切れ味重要)
- 喰い切り(あれば便利)
- 細いマイナスドライバー
- 金槌
ナット外し、力づくはやめておけの理由

ナットはボンドでとまっています、または塗装がナットに付着しているかもしれません。
ようするに、
ナットとギターは完全に一体化しているので、縁切りが必要になります。
縁切りとは、ナットに付着しているボンドと塗料をボディから切り離す作業です。
縁切りが不十分の状態で引き抜こうとすると、木材も一緒に剥がれます。

間違っても力ずくはNGです。
養生をする

ここからは、カッターやマイナスドライバーなど、指板にあたると指板を痛めてしまう道具を使用します。
それらの道具が、不意に接触しても指板を痛めないようにマスキングをします。
ナットとボンド、塗装との縁切り

作業成功のポイントは、入念すぎるほどにナットとギター本体との溝切りを行うこと。
ギターの縁切りをしとかないと冒頭の画像のように、ナットを外したときに木材まで剥がれてしまう可能性があります。
ホントここ大事、縁切りは入念にやると言う事。

ぜひ切れ味の良いカッターを使用してください。
ナットに付着しているボンドですが、
- どんな種類のボンドが塗られている?
- どこに塗られている?
- どれくらいの量が塗られている?
以上が全く未知数です。
もしかすると、ナットに付着しているギターのクリア塗装が強靭な接着剤と化している可能性があります。
この未知数に対応できる作業が縁切りです。
縁切りとは、カッターでナットと塗装を切り離すと言う作業になります。
外し方

最初に試したことは、プライヤーで持ち上げて外そうと試みました。

ビクともしませんでした。
プライヤーで掴めるのはナット表面だけで、力を入れると「どんどん欠けて崩れていきます。」
最悪、欠けすぎて掴めなくなってしまう可能性があります。
最初からナットを持ち上げたいなら最低限プライヤーやラジオペンチではなく、根本から引っ張ることができる喰い切りという工具が必要です。
古いギターなら、「喰い切り」で引き抜くというアプローチで外せる可能性もあります。
ちょっとやってダメであれば、次のアプローチを試してください。

これなら外せる

ナットの両端から細いマイナスドライバーで叩いてナットを外す方法です。
私の2012年製造のテレキャスターもこれで外れました。
注意することは、
叩くと、比較的簡単に「叩いた側のナット端が浮きます。」
ヨシとばかりに、
そのまま持ち上げると、ナットに付着しているボンドと一緒に木材が剥がれることがあります。
なにせ、完全に縁切りできたかどうか?これは常に未知数ですので。

以下の手順で「ゆっくり念入り」に作業をしましょう。
- 片側を叩く→ナット浮く
- もう一度縁切りする
- 反対側のナット端を叩く→ナット浮く
- 念のためもう一度縁切りする
- ナット端を交互に叩きナットを浮かせていきます
面倒でもこれくら入念にすることをおすすめします。
特に新しいギターほどボンドが効いています。
木材が割れた場合

リペアナット交換やフレット交換で木材が割れることがあります。
ナットに木材がくっついてとれてしまった場合は、
- 焦らずに木片の回収に集中する
- ボンドでくっつける
以上で解決します。
画像のようにナットについた木片を取り出す作業ですが、結構骨が折れます。

「そりゃ木材が剥がれるよなってくらい強靭な皮膜がくっついていました。」
ナット溝にはボンドらしきものは確認できません、ブリッジ側にかなりの皮膜が付着しています。

慌てずに、割れた木材を木工用ボンドでくっつけましょう。

ギターでは「タイトボンド」というボンドが補修のメインで使用されています。
私は木工用ボンドで代用しました。

以上でナット取り外しの解説は終わり。
ここからは、簡単にナットの素材別特徴と最後にプロにお願いするメリット、デメリットをお伝えします。
ナット素材の特徴

自分でナットが外せると、どのナットを取り付けようかな?と、悩みますよね。
簡単に以下のナット素材別特徴をお伝えします。
- 骨
- グラファイト
- 真鍮
- プラスチック
骨(ボーン)

- 最もポピュラーな素材の一つ
- 耐久性は良好
- チューニングが安定している(オイル漬け牛骨はさらに良い)
- サウンド:バランスの取れたマイルドな音色
- 価格:比較的安価
- 加工:難しい(天然素材のため個体差あり)難しい
グラファイト
- モダンなギターによく使用される
- チューニングの安定性が高い
- レゾナンスを強化する効果がある
- サウンド:「シャリ」としたサウンド特性
- 耐久性:牛骨より劣る
真鍮

- 金属素材で硬く重い
- サウンド:金属的だが意外と特徴は少ない
- 加工が難しく、コストが高い
- 主に見た目の理由で選ばれる
真鍮ナットの施工方法はこちら→【ナットリペア】ブラスナット整形、R付ナット溝。
プラスチック
- 低価格帯の楽器に多く使用
- 価格:非常に安価
- 耐久性:低い
- チューニング安定度は劣る
- サウンド:他の素材と比べて劣る
- 主に応急処置用途や低価格モデルに使用
ナット交換をプロにお願いするメリット、デメリット
ここまで読んで自分でするには怖いなと感じる方も一定数いらっしゃると思います。
対象にするギターが思い入れや高価なものであれば尚更です。

不安があればプロにお願いしましょう。
ナット交換の工賃は1万円ほどが相場のようです。
ナットの素材によって、値段は変わるので事前に確認しましょう。
最後にプロにお願いするメリット、デメリットの紹介です。
メリット
- 専門的な知識と経験による高品質な仕上がり
- リスクの軽減(ギターへのダメージを避けられる)
- 追加の調整(セットアップ)も同時に行える
デメリット
- コストが高くなる(約1万円程度)
- 好みの素材や形状を細かく指定しにくい場合がある
- 待ち時間が発生する可能性がある
私は金銭的に余裕がないので圧倒的に自分ですることを選択します。
DIYリペアは趣味のギター楽しみ方の1つかなと思いますからね。
まとめ
ナットは消耗品です、交換する時がきます。
自分でリペアするメリットは安く仕上がり、素材を選択できることです。
なにせ1000円もせずに色々な素材のナットを購入できます。
さらに、弦の溝がすでに掘られているものもあるので、DIYするには敷居の低いリペアかと思います。

好きな素材を低価格で。
趣味は楽しめれば一番よいわけですが、ナットを取り外す時だけは注意が必要です。

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