「愛機のパーツを自分で交換してみたい」「ノイズや音切れを自分で直したい」
そう思い立ってギターの裏蓋を開けてみたものの、張り巡らされた配線を見て「どこがどう繋がっているのかサッパリ分からない…」と手を止めてしまっていませんか?
ギター内部の配線図を理解し、DIYリペアを成功させる最大のコツは、ハンダ付けの技術よりも前に「音の流れ(シグナルチェーン)」を知ることです。
まずは結論から。
エレキギターの内部で、音(電気信号)は以下のような「川の流れ」で進んでいます。
➔ ギター内部の「音の流れ」最短まとめ
ピックなどで弦を弾いた音は以下のルートでアンプから出音されます
- ピックアップ: 弦の振動をキャッチし、電気信号(ホットとコールド)を作る
- セレクタースイッチ: 使うピックアップ(フロント/リアなど)を切り替える
- ボリューム/トーンポット: 音量や高音域の削り具合をコントロールする
- アウトプットジャック: すべての信号を集めて、シールドへ送り出す
このように、信号は「上流」から「下流」へと向かってパーツを通過していきます。
この流れを基本として、リペアに絶対必要な「電気の仕組み」と「各パーツの端子の役割」をここから詳しく解説していきます!
1. なぜリペアの前に「音の仕組み」を知る必要があるのか?
構造を知らずにパーツ交換を始めると、「配線図通りにハンダ付けしたはずなのに音が出ない」というトラブルが起きたとき、完全に迷子になってしまいます。
内部の仕組みが分かっていれば、
- 「音が全く出ないから、原因はホットの断線か、どこかでショートしているな」
- 「手を離したときだけノイズが酷いから、アース不良だな」
というように、デジタルテスターをどこに当てて導通チェック(ブザーでの確認など)をすればいいか、自分で原因を特定(トラブルシューティング)できるようになります。
これこそが、脱・初心者リペアへの第一歩です。
2. ギターの電気は「行って、戻ってくる」循環システム
ギター内部を流れる電気信号は、川のように一方通行なだけでなく、「行って、戻ってくる(輪になる=回路)」ことで初めて音が鳴るという性質を持っています。
ギターの配線には、大きく分けて3つの役割を持つ線があります。
| 線の種類 | 英語名 | 役割 |
| ホット | Hot | 「行き」の主役。 ピックアップで作られた純粋な音の信号(プラス)。 |
| コールド | Cold | 「帰り」の裏方。 音の信号をピックアップへ戻すためのルート(マイナス)。 |
| アース(グランド) | Earth / Ground | 「ノイズのゴミ箱」。 外部からの不要なノイズをアンプへ逃がして消す防衛線。 |
ギター内部では、「コールド」と「アース」は同じ場所(ポットの裏蓋など)で合流しています。
「ホット(行き)は各パーツの端子を渡り歩く」「コールドとアース(帰り・ノイズ)は金属のボディに全部集めて、最後にジャックから逃がす」と覚えておきましょう!
3. パーツ別・端子の役割と内部の仕組み
それでは、音の流れに沿って各パーツの端子がどんな性質を持っているのか、詳しく解剖していきましょう。
① ピックアップ(音の発生源)とリード線の種類
弦の振動を「磁石とコイル」で電気信号に変える、いわばマイクの役割です。ここから出る「リード線(配線材)」にはいくつか種類があります。
- 2芯(ビンテージタイプなど):

クロスワイヤーや、網線(シールド線)がそのままコールド(兼アース)になり、中の芯線がホットになるシンプルな構造。
- 4芯(近代的なハムバッカーなど)

赤・白・黒・緑など4本の細い線+裸のアース線(シールド)で構成。シリーズ(直列)、パラレル(並列)、コイルタップ(シングル化)などの複雑なスイッチングリペアが可能です。
ピックアップの交換方法はこちら↓

② セレクタースイッチ(信号の分岐点)
どのピックアップの音を使うかを選ぶ「水門」です。
ストラトなどの5WAYスイッチや、レスポールなどの3WAYトグルスイッチがあります。
- 端子の性質: 基本的には「各ピックアップからの入力を受ける端子」と、そこで選ばれた音を1本にまとめて次のパーツへ送る「出力(コモン)端子」で構成されています。
- リペアの視点: 物理的にガチャガチャ動かすため接点不良が起きやすく、「特定のポジションだけ音が出ない・ガリがでる」という場合は、スイッチの接点洗浄やパーツ交換が必要です。
③ ボリューム/トーンポット(可変抵抗器)

音量や高音域の削り具合を調整するパーツです。裏返すと、3つの端子(足)が出ています。
- 3つの端子の役割(左から①・②・③とした場合):
- ①番端子(入力): スイッチやPUから来たホットの信号が入る。
- ②番端子(出力): ノブの回転に合わせて、調整された信号が次のパーツへ出ていく(ジャック側へ)。
- ③番端子(アース): ポットの裏蓋に曲げてハンダ付けされる。ノブをゼロにした時、信号をすべてアース(ゴミ箱)へ流して音量を完全にゼロにする役割。
- トーンポットの仕組み:
ポットに「コンデンサー(キャパシター)」をハンダ付けすることで、特定の高音域だけをアース(マイナス側)に逃がし、音がモコモコと太くなるように加工します。
修理方法は↓

④ アウトプットジャック(最終出口)

ギターのすべての信号が集まる終着駅。シールドケーブルを差し込む場所です。端子は基本的に2つだけです。
- チップ端子(ホット): シールドの先端(尖った部分)に触れる端子。ここへ内部のホット線をつなぎます。
- スリーブ端子(コールド/アース): シールドの長い根元の金属部分に触れる端子。ここにポットの裏蓋などから集まってきたコールド・アースの線をすべてつなぎます。
- リペアの視点: 最も抜き差しが多く、ナットが緩んでクルクル回りがちです。回った勢いで内部のホット線がねじ切れて断線するのが、エレキギターの「音が出ない」トラブル第1位です。

4. まとめ:仕組みがわかれば、DIYリペアは怖くない!
エレキギターの内部回路は一見複雑ですが、整理すると非常にシンプルです。
- PUでホット(行き)とコールド(帰り)が生まれる
- スイッチで通り道を選び、ポットの端子で音量・音色をコントロールする
- 不要なノイズはアース(裏蓋)に集める
- 最後はジャックの「チップ(ホット)」と「スリーブ(コールド/アース)」からアンプへ送り出す
この流れさえ頭に入っていれば、ハンダ付けをする時に「この線はホットだから端子へ」「これはアースだから裏蓋へ」と迷わずに作業ができるようになります。

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