4月を過ぎたあたりから、急に愛機のテレキャスの弦がビビるようになった
ローフレットでは明らかにビビりが生じ、ハイフレットではサスティンが伸びない
今回キレイサッパリ改善しようと思う
実は、春先から初夏にかけては、冬の乾燥から一気に多湿へと向かう過渡期。
人間にとっても体調管理が難しい季節ですが、木材でできているギターのネックにとっても「最も動きやすい(反りやすい)魔の季節」なんです。
「これはネックが動いたな?」と思いつつも、ビビりの原因はネックの反りだけとは限りません。
ナットの摩耗、サドル高のズレ、はたまたフレットの問題まで原因は多岐にわたります。
焦ってどこか一箇所だけをいじるのはトラブルの元。
今回は、上流から下流まで順番にチェックして原因を特定し、徹底的に対処していくプロセスをお届けします!
■ ステップ1:どこが怪しい?まずは「消去法」でビビりを診断
闇雲にトラスロッドを回したりサドルをいじったりすると、迷宮入りして泥沼にハマります。
トラスロッドを急激に回すことはお勧めしません
ちょっと回すだけでも、驚くほどネックの状態はかわりますので
まずは現状把握からスタート。
症状によって原因をある程度絞り込みましょう。
- 【開放弦だけがビビる】 ⇒ ナット溝が低すぎる?
- 【特定のローフレット(1〜5F付近)がビビる】 ⇒ ナットのすり減り、またはネックの「逆反り」が怪しい
- 【ハイフレット全体(12F以降)がビビる】 ⇒ 全体的な弦高の下がりすぎ、またはネックの「順反り・ハイ起き」
筆者のケースでは、ローからミドルフレット付近にかけて不快な金属音が混じる状態。
さらにハイフレットではサスティンが伸びない、ハイ起き気味です
容疑者を「ナットのすり減り」と「ネックの反り」の2つに絞り込み、検証を進めます。
■ ステップ2:原因の容疑者をチェックする
怪しい部分を客観的な方法で確認していきます。
① まずは「ナットのすり減り(溝の深さ)」をチェック
ナットの溝がすり減って深くなりすぎると、ローフレットのビビりの原因になります。
- 3フレットを指で押さえます。
- その状態で、「1フレットの頭と弦の隙間」をじっくり見ます。
本来、ここにはわずかな隙間(0.1〜0.2mm程度)が必要です。
プロなら「シックネスゲージ(すきまゲージ)」という専用の薄い金属板を使って測る部分ですが、身近な「ハガキ(または名刺)」1枚でも代用OKです。
ハガキの端を隙間に差し込んでみて、スッと入ればセーフ。

もしハガキが全く入らず、弦が1フレットに完全にベタ付きしている場合は、ナット溝が削れすぎて低くなっています。
筆者のギターはシックネスゲージが0.1mmが入らないので、まずナットの交換が必須です

次にネックの反りです。
② 次に「ネックの反り」をチェック

定番のチェック方法として、1フレットと最終フレット(または14フレット)を同時に押さえ、その中間(7〜8フレット付近)の「フレットの頭と弦の隙間」を目視で確認します。
隙間が全くなく、弦がフレットにカンカンと当たっているなら「逆反り」です。
ただ、この「隙間を目視で見る」というのは、光の加減や目線の角度でけっこう分かりにくかったりします。
私はストレートエッジを使用します
ちなみに、直尺でも測定可能ですよ


フレットのすり減りを拾ってしまいますが、ネックの状態を把握するには十分だと思っています。

順反りですね。
ある程度の順反りはOKです、よくハガキ1枚と言われています、

シックネスゲージの0.1mmが入らない程度なので良い状態です
もしとにかく正確な状態をしりたい、というのであれば以下の商品がおすすめです。
それがこの「ノッチ付きストレートエッジ(指板専用定規)」。
普通の定規だとフレットに当たってガタついてしまいますが、これはフレットを綺麗に避けるための溝(ノッチ)が等間隔で刻まれています
つまり、フレットの凸凹に左右されず、純粋に「指板(木材)が真っ直ぐかどうか」をダイレクトに測定できる優れものです。
原因が分かれば、トラスロッドを反時計回り(緩める方向)に少しずつ回し、ネックをフラットな状態へと補正します。
以下の記事で詳しく解説しています

■ ステップ3:土台が固まったら、いよいよ「サドル調整」で仕上げる
ナットの状態を確認し、ネックの反りを真っ直ぐ(あるいはごくわずかな順反り)に修正したら、いよいよ最終ラインである「ブリッジ・サドルの調整(弦高調整)」へと進みます。
ナットとネックという「土台」が適正になって初めて、サドルでの正確な弦高セッティングが可能になります。
ネックを真っ直ぐに直したことで全体のバランスが変わっているため、現在の12フレット上の弦高を測定します。
ここから、各弦がビビらず、かつ弾きやすいベストな高さ(目安として6弦12Fで2.0mm、1弦12Fで1.5mmなど)を狙って、サドルの高さを微調整していきます。

弦高ゲージで確認しながら調整をします
上流(ナット・ネック)をビシッと決めてあるので、下流(サドル)の調整も迷うことなく一発でバシッと決まります。
■ ステップ4:実はここが盲点!「指板の保湿」もネックの反りに直結する
ネックを調整してビビりが収まったら一安心……ですが、ここで終わらせずに「そもそも、なぜ4月にネックが動いたのか?」という根本的な原因にも目を向けてみましょう。
実は、ネックの反りには「指板の乾燥」が深く関係しています。
冬の乾燥を引きずったまま春を迎え、さらにエアコンの風などに晒されると、エボニーやローズウッドなどの指板材は水分を失ってギュッと縮んでしまいます(木が痩せる状態)。
指板側が縮むと、ネック全体が後ろに引っ張られる力が働き、結果として「逆反り(=弦がビビる)」を引き起こす直接的なトリガーになるのです。
ロッドを回して無理やり形を直すだけでなく、定期的に指板オイル(コンディショナー)を塗って指板に適切な潤いを与えてあげることが、結果的にネックの動きを最小限に抑える一番の予防策になります。
今回のリペアの仕上げとして、指板もしっかり保湿しておきました。

■ まとめ:季節の変わり目に負けないギターメンテナンス
今回の「4月からの謎の弦ビビり」は、検証の結果、指板の乾燥からくるネックの逆反りが主な原因でした。
ギターに不調が出たとき、焦ってどこか一箇所だけを適当にいじってしまうと、全体のバランスが崩れてさらに状態が悪化してしまいます。
今回のように、「上(ナット)を見て、真ん中(ネック)を直して、最後に下(サドル)でまとめる」という順番で消去法でチェックしていけば、誰でも安全に原因へとたどり着くことができます。
愛着のある一本を自分の手でベストコンディションに保つのは、ギタリストとして最高の悦びです。
もしあなたの愛機も最近ビビり始めているなら、まずはハガキを1枚持って、じっくり観察することから始めてみませんか?

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